研究課題/領域番号 |
23590317
|
研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
竹内 一 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (00421298)
|
キーワード | RXRシグナル |
研究概要 |
RXRアゴニストを用いることで、制御性T細胞の分化誘導を促進し、Th17細胞の分化誘導を抑制することを示す結果が得られた。また分子機構を解析することによって、RXRシグナルは制御性T細胞分化とTh17細胞分化では、異なる伝達経路を使用している可能性を示唆する結果が得られた。特に、Th17細胞の分化においては、RXRシグナルはレチノイン酸受容体非依存的に働いている可能性が推測され、このことからTh17細胞分化を人為的にコントロールする新たな方法を探索する基盤が得られたものと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、RXRアゴニストを用いた制御性T細胞の分化を促進するin vitro系が確立された。またin vivoにおいても、RXRアゴニスト投与により、炎症抑制効果を示す結果が得られた。さらに、RXRシグナルの分子メカニズムにおいても、レチノイン酸シグナル依存的または非依存的な2通りの伝達経路が存在し、T細胞分化の方向性によって、それらを使い分けていることを示唆する結果が得られた。 以上から、現在の達成状況を当初の申請計画に対して、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
In vivoにおける、RXRアゴニストの働きには、以前不明な点が残っている。特に生体内でのRXRシグナルの働き方は、in vitroと異なり、様々なシグナルおよびリガンドと協調/拮抗しながら働いている可能性が高い。そのような状況でRXRシグナルを効率よく機能させるためには、さらにin vivoでの分子メカニズムについての解析が必要である。 これまでin vivo実験系としては、EAEを主に用いてT細胞の分化を解析してきたが、移入細胞を主体としたin vivo分化誘導系の構築を行なっていく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
上記の方策に示した移入細胞を用いたin vivo分化誘導系を構築するため、特異抗原に対するTCRを持つトランスジェニックマウスOT-II及びDO11.10マウスを使用する必要がある。またトランスジェニックマウス由来のT細胞を導入するレシピエントマウスも必要となる。さらにマウスからT細胞を単離するための試薬や導入後の細胞を解析するための各種標識抗体が必要となる。以上のことから、i)マウスの購入・維持費用、ii)細胞の単離・培養用試薬、iii)細胞を解析するための標識抗体等の試薬、を購入するために、次年度の研究費を使用する予定である。
|