研究課題
前年度までの結果から、in vitroではRXRアゴニストが、制御性T細胞(Treg)への分化を促進し、Th17細胞への分化を抑制することが示された。この結果を踏まえて、本年度はin vivoにおいてもRXRアゴニストが同様の効果を示すことが出来るかどうかを調べた。まず、RXRアゴニストを用いることによりin vivoでTh17細胞への分化に影響を与えるかどうかを検定した。主にTh17細胞が原因となって発症する実験性自己免疫性脳脊髄炎(EAE)マウスに、RXRアゴニストであるトリブチルスズ(TBT)を経口投与し、経過を観察した。その結果、TBT投与群では、比較対照群に比べ有意に発症を遅延させることに成功した。また、TBT投与をされたEAEマウスの所属リンパ節中のT細胞を解析したところ、比較対照群と比べTh17細胞の比率が有意に低下していた。これらの結果から、RXRアゴニストの投与により、in vivoでのTh17細胞分化が抑制できることが示唆された。また、卵白アルブミン(OVA)-特異的なT細胞受容体をもつナイーブT細胞を移入し、OVAを腹腔内注射することによって抗原感作させる実験モデルを使い、RXRアゴニストであるPA024がTreg分化に与える影響を検定した。その結果、PA024投与群では、脾臓において移入されたナイーブT細胞がFoxp3陽性に転じる割合が有意に高いことが確認された。このことは、RXRアゴニストの投与によって、生体内でTregへの分化が促進される可能性を示唆している。以上の結果から、RXRアゴニストはin vivoでもT細胞の分化に影響を与え、その投与により生体内での免疫制御を行うことが可能であることが示唆された。
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J. Immunol.
巻: 191 ページ: 3725-3733
10.4049/jimmunol.1300032
http://kp.bunri-u.ac.jp/kph/index-14.html