研究課題
私は、これまでに幹細胞から生殖腺体細胞を分化誘導する系を確立してきた。本研究では、男性の性分化や精子形成細胞の増殖・分化に必須な精巣の体細胞であるセルトリ細胞をin vitroで幹細胞から分化誘導するシステムを新たに確立し、細胞分化の分子メカニズムを解明することを試みた。まず初めに、セルトリ細胞の特異的なマーカー遺伝子を全く発現していない間葉系幹細胞に、遺伝子導入した後に、低血清培地での培養を行うことによりセルトリ細胞の前駆細胞に分化させた。この前駆細胞に、SF-1/Ad4BPを含む3種類の転写因子をレトロウイルスにより導入したところ、多くのセルトリ細胞特異的なマーカーを発現する細胞へと分化した。この細胞は、セルトリ細胞が産生する性分化に必須なホルモンであるミュラー管退縮因子を産生していた。一方、細胞は、間葉系幹細胞にSF-1のみ導入した時に分化するライディッヒ細胞(精巣の別の体細胞)が産生するステロイドホルモンは、ほとんど産生しなかったことから、機能的にもセルトリ細胞様の細胞に分化したと考えられる。この結果を支持するように、ライディッヒ細胞由来の細胞株に、セルトリ細胞の分化誘導に用いた転写因子を導入したところステロイドホルモン産生酵素の発現は、著しく低下し、ステロイドホルモンの産生は抑制された。次に、この分化システムを用いてセルトリ細胞分化の分子メカニズムを解明するために、分化前後の細胞でDNAマイクロアレイを行った。すると、多数の遺伝子が細胞分化後に誘導されており、これらの中にはセルトリ細胞の分化に必要と考えられる転写因子等が含まれていた。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
World Journal of Stem Cells
巻: 6 ページ: 203-212
Biochim Biophys Acta.
巻: 1839 ページ: 406-14
10.1016/j.bbagrm.2014.03.016. Epub 2014 Apr 3.
巻: 1839 ページ: 33-42
10.1016/j.bbagrm.2013.11.005. Epub 2013 Dec 7.
産科と婦人科
巻: 81 ページ: 351-56
FASEB J.
巻: 27 ページ: 3198-208
10.1096/fj.12-222745. Epub 2013 May 6.