研究課題
アファディンは細胞内に局在し、細胞接着、細胞運動、細胞極性、細胞生存などの細胞機能を制御する多機能性の分子である。細胞接着においては接着分子ネクチンなどと結合し、足場分子として細胞接着の形成・維持に重要な役割を果たしている。しかし、アファディンが細胞内で機能する分子機構については不明な点が多く残されていたことから、本研究ではその点について解析し、以下の事柄を明らかにした。1)細胞運動時にアファディンは運動の先導端に集積し、その部位で別の足場分子ADIPと結合して増殖因子刺激に対する細胞運動を促進した。さらに詳細な検討により、アファディンは、低分子量Gタンパク質Racの活性化因子Vav2の活性化を介して、Racを活性化し、アクチン細胞骨格の再編成を引き起こしていることを見出した。2)内皮細胞特異的にアファディンを欠失させたコンディショナルノックアウトマウスを作製した。このコンディショナルノックアウトマウスは、胎生14.5日目から著明な浮腫を生じ、胎生16.5日目に致死となった。これらのマウスではリンパ管内皮細胞の細胞間接着がほぼ完全に破綻していた。その機序について解析したところ、アファディンの発現が消失したリンパ管内皮細胞では、低分子量Gタンパク質RhoAが過剰に活性化し、過度のアクチン線維の凝集および収縮が生じて細胞間接着を引き剥がしていることが分かった。逆に、このリンパ管内皮細胞でRhoAの活性化を抑制すると、細胞間接着の破綻は回復した。3)心筋細胞特異的にアファディンを欠失させたコンディショナルノックアウトマウスを作製した。このコンディショナルノックアウトマウスは生存可能であった。現在、これらのマウスに心負荷をかけることでどのような特異的変化が生じるか解析中である。
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