研究課題
胎仔型ライディッヒ細胞の新たな生理学的機能の解明を目標とし、各発生段階での遺伝子発現プロファイルをRNA-sequenceにより解析するとともに、ジフテリア毒素を用いた細胞特異的破壊実験を試みた。RNA-sequenceのための細胞調製方法として、胎仔型ライディッヒ細胞特異的EGFP発現マウスの精巣からセルソーティングによって細胞を回収し、対照として用いる成獣型ライディッヒ細胞は、パーコール密度勾配遠心法により回収した。しかしながら、密度勾配遠心では、ライディッヒ細胞と密度が近いマクロファージの混入が避けられず、解析に適さないことが明らかとなった。そこで、Ad4BP/SF-1遺伝子座を含むBACクローンを用いてEGFP発現ウスを作出し、このマウスの成獣精巣からソーティングによって成獣型ライディッヒ細胞を回収する条件を決定した。現在、RNA-sequenceの準備を進めており、成果の投稿にはいたっていない。しかしながら、予備実験の結果から、胎仔型ライディッヒ細胞において出生後10日目から21日目にかけて高発現する遺伝子群が同定されている。これらの遺伝子群の中には、ある種のアンドロゲン(アンドロステンダイオール)の合成に関与する遺伝子が含まれていた。そのため、今後はLC-MS/MSを用いて、精巣内で合成されるアンドロゲンの網羅的解析を行う必要があると考えている。毒素を用いた細胞破壊実験に関しては、残念ながら今までのところ細胞破壊による影響を観察できていない。原因としては、毒素受容体の発現効率が低く、細胞破壊が十分でない可能性が考えられる。そこで、細胞を破壊するかわりに、既に作出した胎仔型ライディッヒ細胞特異的Creマウスを用いて、ライディッヒ細胞の分化に必須の因子であるAd4BP/SF-1遺伝子を細胞特異的にノックアウトするマウスを作成し、解析を進めている。
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Nat Commun
巻: 5 ページ: 3634
10.1038/ncomms4634