研究概要 |
ポリADP-リボシル化の生物学的な意義は、DNA修復がこれまで主なものとして知られてきたが、実際にはまだ不明な点が多い。一方世界的には、現在ポリADP-リボシル化の特異的阻害剤が、抗がん剤としての臨床研究が始められている。エピジェネティックな調節機構として生化学的な基本的知見がまだ不足している。 特にin vivoにおけるポリADP-リボシル化のアクセプター蛋白質の同定は、マウスなどにおいては、ポリ(ADP-リボース)の分解酵素のノックアウトは、胎生致死になるため、なかなか研究が進んでいない。私たちは、ショウジョウバエにおいては、ポリ(ADP-リボース)の分解酵素のノックアウトは、温度条件により羽化することが出来ることを示し、これを用いてin vivoにおけるポリADP-リボシル化蛋白質が蓄積している可能性を考えて研究を行ってきた。ショウジョウバエのポリADP-リボシル化の分解酵素遺伝子欠失変異体を用いて、ポリ(ADP-リボース)抗体のアフィニティーカラム、アルカリ処理、2次元電気泳動法と質量分析を組み合わせて、ポリADP-リボシル化のアクセプター蛋白質候補を検索し、昨年度は、alcohol dehydrogenaseを同定していたが、本年度はさらにA kinase anchor protein 200 isoform D (AKAP200), glycogen phosphorylase, glycerophosphate oxidase oxidase 1, enolase, fat body protein 1, troponin T, actin-87E, malate dehydrogenaseを同定できた。
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