研究課題/領域番号 |
23590352
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 和広 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80241628)
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研究分担者 |
戸恒 和人 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (10217515)
金子 桐子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10545784)
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キーワード | プロレニン / 受容体 / 貧血 / 赤芽球 / 心不全 / 腎不全 / エリスロポエチン |
研究概要 |
プロレニン受容体は、レニンとその前駆体、プロレニンに特異的に結合する受容体である (Nguyen et al., 2002)。これまでの検討において、プロレニン受容体が、神経細胞、脂肪細胞等、様々な種類の細胞に発現していること、赤芽球系細胞であるYN-1細胞にプロレニン受容体が蛋白およびmRNAレベルで発現していること、さらに赤芽球系細胞におけるプロレニン受容体の発現はインターロイキン1ベータ等の炎症性サイトカインによって変化することを明らかにし、腎性貧血の病態への関与の可能性を示唆してきた。 当該年度の研究では、赤芽球系細胞におけるプロレニン受容体の発現制御機構、特に、エリスロポエチン、甲状腺ホルモン(トリヨードサイロニン; T3)、アンジオテンシンII、低酸素の効果を検討した。赤芽球系細胞であるYN-1細胞において, エリスロポエチンあるいはT3刺激により(P)RRのmRNAの発現に濃度依存的な上昇が確認された(いずれも、コントロール群と比べて約1.6倍)。他方, ウェスタンブロット法による検討では、エリスロポエチンやT3の刺激により(P)RRタンパクの発現レベルの増加傾向は見られたが, 統計学的に有意な増加は確認されなかった。アンジオテンシンII刺激では濃度によらずmRNA・タンパクレベル共に(P)RRの発現に有意な差は確認されなかった。YN-1細胞を酸素分圧1%の低酸素条件で24時間・72時間培養し, 低酸素の(P)RRタンパクの発現への効果を検討したが、低酸素による(P)RRタンパク発現の有意な変化は、見られなかった。 今回の研究により, 赤芽球系細胞において、(P)RRの発現がエリスロポエチンや甲状腺ホルモン(T3)によって増大することが初めて明らかになった。T3は赤芽球増殖刺激作用を有するが、本作用には(P)RRの発現誘導が関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
赤芽球系細胞において、(P)RRの発現がエリスロポエチンや甲状腺ホルモン(T3)によって増大することが初めて明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
以下の検討を行う予定である。 1) siRNA等を用いて、(P)RRの発現を抑制した場合、細胞の増殖はどのような影響をうけるか? 2) MAPKであるERK1/2のリン酸化と増殖の関係は? 3) V-ATPaseと増殖の関係は?
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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