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2012 年度 実施状況報告書

新規βアミロイド産生調節蛋白の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 23590359
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

長谷川 浩史  滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (40432299)

研究分担者 西村 正樹  滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 准教授 (40322739)
キーワードアルツハイマー病 / 認知症 / セクレターゼ / βアミロイド
研究概要

アルツハイマー病の発症メカニズムとして、βアミロイドペプチド(Aβ)の異常蓄積が一次的病因とする知見が得られており、βアミロイド前駆体タンパク質APPからAβを産生する酵素であるセクレターゼは、治療の標的タンパク質として注目されている。細胞内ではセクレターゼの基質切断や酵素活性を適切に制御する因子の存在が予想され、このような活性制御機構の解明は極めて重要である。我々は、γセクレターゼ結合タンパク質の探索により、新規のAβ産生調節タンパク質AP3を同定した。本課題では、その作用メカニズムの解明と治療への応用の検討を行う。
本年度実績のうち、遺伝子改変動物の作製と解析に関しては、AP3トランスジェニック(Tg)マウスに発生段階での形態学的異常はなく、明らかな行動異常も認められなかった。さらに、脳内の内在性Aβ産生は非トランスジェニックに比して有意に低下していることが明らかとなった。また、Notchシグナルの障害がみられないのに対応して、内在性Notch切断によるNICD産生レベルにも差はみられなかった。さらに、正常マウスにおけるAP3の中枢神経系における発現の検討では、AP3は広範囲におけるほとんどの神経細胞で発現がみられ、正常脳においてもAP3がAβ産生を制御している可能性が示された。これらの結果は、AP3が新たなアルツハイマー病治療のターゲットとなり得る可能性を示唆するものであった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1. 遺伝子改変動物の作製と解析
AP3トランスジェニック(Tg)マウスを作製した。発生段階には形態学的に明らかな異常は呈していなかった。内在性Aβ産生をみるため、マウスAβに対するELISA定量を行った。その結果、non-Tgに比してAP3-TgマウスではAβレベルが有意に低下していることが明らかとなった。また、内在性Notch切断によるNICD産生レベルには差がなかった。
2. AP3の中枢神経系における発現の検討
AP3に対する特異抗体を用いた免疫組織化学を行った。AP3はほとんどの神経細胞で発現がみられたが、グリア細胞での発現はみられなかった。
年度計画の通り、AP3トランスジェニック(Tg)マウスを作製し、AβレベルとNotch切断に対する検討を行った。加えて、神経系での発現を検討し、有用な知見が得られた。

今後の研究の推進方策

平成25年度計画
<遺伝子改変動物の作製と解析>
AP3-Tgマウスとアルツハイマー病のモデルマウスであるAPP-Tgマウスとの掛け合わせを行い、AP3のAD病態への効果を判定する。
<バイオマーカー、治療標的蛋白としての可能性の検討>
動物において髄液中への分泌確認、Aβ量との相関関係の有無を解析する。また、分泌型蛋白のAβ産生調節能の有無を明らかにする。アミノ酸一次配列の情報と系統細胞の培養上清中に分泌が認められることより、新規調節蛋白は分泌蛋白であることが強く示唆される。しかし、我々が報告したTMP21のような膜蛋白と異なり、これまでγセクレターゼ複合体と結合しAβ産生調節を行う分泌蛋白の報告はない。また、この蛋白自身の基本的な特性も不明である。そこで、培養細胞を用いて、細胞内局在や分泌メカニズム等の特性を明らかとする。培養細胞を用いた系では、特に刺激を与えなくても培養上清中に分泌が認められることより、恒常的な分泌が行われている可能性が高いが、この系では、細胞上清中にAβが常時存在するので、Aβによるフィードバック機構の可能性もある。このことを念頭に新規蛋白自身の発現調節機構についても検討する。

次年度の研究費の使用計画

トランスジェニック・マウスの飼育費、および免疫組織化学的、生化学的解析のための試薬、プラスティック器具、抗体、学内共同機器使用料などがおもな使途となる。

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公開日: 2014-07-24  

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