研究課題/領域番号 |
23590364
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上田 健 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (60585149)
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研究分担者 |
本田 浩章 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40245064)
福永 理己郎 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (40189965)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | シグナル伝達 / 翻訳制御 |
研究概要 |
申請者らはこれまでにマウスモデル並びにヒト細胞株を用いた異種移植モデルを用いて、セリン・スレオニンキナーゼMnk1 (MAP kinase-interacting kinase 1)と Mnk2が、mRNAのキャップ依存的翻訳開始に必須の翻訳因子eIF4E (eukaryotic translation initiation factor 4E)をリン酸化して癌を促進することを明らかにし、Mnk阻害剤が新規がん治療薬となる可能性を示した。Mnkの二重欠損はマウス個体発生には影響を及ぼさないため、Mnk特異的阻害剤は副作用の少ない癌治療薬になる可能性がある。一方で、Mnk-eIF4E経路に相互作用し活性制御する新規タンパク質群もまた、新たながん治療の標的になりうると考えられた。本研究ではその基盤となる研究を行う。Mnk-eIF4E経路と相互作用する新規タンパク質群を同定し、 この経路に関与する新たな活性制御機構を明らかにすることを目的とする。エピトープタグ発現精製法および質量分析法を用いて、Mnkの新規活性化制御機構に関与する相互作用タンパク質群の検索とその機能解析を行う。当該年度は機能解析ツールの作製として、Flagペプチド配列が結合した野性型マウスMnk1タンパク質あるいは機能欠失型変異体(マウスMnk1の 197番目と202番目のスレオニン残基をアラニンに置換した変異体)をコードするcDNA、あるいはempty vectorのいずれかをレトロウイルスの手法を用いて Mnk1遺伝子欠損マウス由来の不死化線維芽細胞に発現させ、薬剤選択によつて、これらタンパク質が恒常的に発現した細胞株を樹立、解析ツールの作製を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研申請書に記載した解析ツールの作製が当初の予定どおり達成されたため、達成度としては、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
それぞれの細胞抽出液からFlag-Mnk1結合蛋白質複合体を抗FlagM2抗体を用いて免疫沈降により得る。最終精製物 (蛋白質複合体)をSDS-PAGEで分離後、ゲルの抽出を行いプロテアーゼ(トリプシン)処理後に質量分析法を用いて含まれるペプチドのアミノ酸配列を特定し、結合タンパク質の同定を行う。 タンパク質の同定に関して、計画どおりに進まないときには、酵母を用いたツーハイブリッド法を代替法として考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
経費の主要な用途は、消耗品であり培地、抗生物質、ウシ血清や、培養用フラスコ、ディッシュ、ピペットなどのプラスティック器具、ガラス器具、抗体、試薬等の購入を計画している。その他同定されたタンパク質の機能解析にかかる蛋白工学関連物品が必要となる。 また情報交換や学会で研究成果の公表のための出張経費を計上予定としている。
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