研究課題/領域番号 |
23590364
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上田 健 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (60585149)
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研究分担者 |
本田 浩章 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40245064)
福永 理己郎 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (40189965)
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キーワード | シグナル伝達 / 翻訳制御 |
研究概要 |
Mnk-eIF4E経路に関与する制御機構、シグナルクロストークの詳細を明らかにするため、エピトープタグ発現精製法および質量分析法を用いて、Mnkの機能制御に関与する相互作用タンパク質群の検索と機能解析を行うことが本研究の概要である。昨年度に樹立したFlagペプチド配列が付加された野性型マウスMnk1タンパク質あるいは機能欠失型変異体タンパク質が恒常的に発現した細胞株を用いて、細胞抽出液から抗 FlagM2 抗体による免疫沈降を行い、Flag-Mnk1精製タンパク質複合体を得た。次にこれらをSDS-PAGEで分離後ゲル抽出を行い、プロテアーゼ処理後に質量分析法を用いて、得られたピークから含まれるペプチドのアミノ酸配列を特定した。そしてデータベース検索により、Mnk1相互作用タンパク質の同定を試みた。結果、Mnk1特異的に相互作用していると考えられるタンパク質群として、既に報告のあるMnk1の活性化酵素p38や、翻訳開始因子複合体の構成因子 (eIF4G, eIF4E, eIF3)が含まれていたことから、結合タンパク質スクリーニングとして本方法が機能していると判定した。一方で、これら既知のタンパク質に加えて、以前には報告されていない新規のMnk1相互作用候補タンパク質もまた複数含まれていることが判明した。今後これらタンパク質とMnk1との結合、および機能的関連について検討を行うことを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研申請書に記載したMnk1相互作用タンパク質の同定については、少なくとも既知の結合タンパク質の多くが含まれていることが判明し、実験系が機能していると判断した。またそれ以外にもこれまでに報告のないMnk1質結合タンパク質の新規候補も含まれており、達成度としてはおおむね順調であると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
同定された新規タンパク質について既存のデータベースをもとにドメイン構造の検索を行う。また Mnk1タンパク質との相互作用を免疫沈降により確認する。相互作用が確認された場合には、ドメイン構造を欠 いた変異体と Mnk とを細胞に過剰発現させて免疫沈降を行い、相互作用の領域を同定する。野性型とMnk1欠損繊維芽細胞において、当該遺伝子を過剰発現、あるいはノックダウンさせることによる細胞生物学的な効果について検討することも計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
経費の主要な用途は、消耗品であり培地、抗生物質、ウシ血清や、培養用フラスコ、ディッシュ、ピペットなどのプラスティック器具 、ガラス器具、抗体、試薬等の購入を計画している。その他同定されたタンパク質の機能解析にかかる蛋白工学関連物品が必要となる 。 また情報交換や学会で研究成果の公表のための出張経費を計上予定としている。
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