エピトープタグ発現精製法および質量分析法により セリンスレオニンキナーゼMnk1の相互作用タンパク質群の検索を行い、新規結合タンパク質として、分子量約130kDa の脱ユビキチン化酵素を同定した。このタンパク質は p53 の阻害因子 MDM2や PTENを基質として、タンパク質の安定性や局在制御に関与し、腫瘍の進展に関わることが指摘されている。また、セリン残基がリン酸化をうけると核-細胞質局在が変わることが知られている。Mnk1ノックアウトマウス由来の繊維芽細胞に発現させたFlag-mouse Mnk1と、内在性のこの新規結合タンパク質との相互作用を免疫沈降により確認した。また、ヒト培養細胞株に両タンパク質のヒトホモログを過剰発現させた場合にも両者の相互作用が認められた。これら相互作用は、Mnk1のリン酸化酵素活性を欠いた変異体においても同様に観察された。この新規タンパク質をMnkノックアウト細胞と野性型のマウス繊維芽細胞それぞれに過剰発現させて、細胞レベルでの機能的関連について検討を行った。通常培養条件下で両者の細胞増殖には明らかな違いが認められなかったことから、現在ストレス下での細胞応答に関して、これら分子の相互作用が細胞機能に与える影響を解析中である。
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