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2011 年度 実施状況報告書

形態学的診断が困難な中枢神経疾患の生化学マーカーの探索

研究課題

研究課題/領域番号 23590367
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

橋本 康弘  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80164797)

研究分担者 城谷 圭朗  福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (20322696)
奈良 清光  福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40260327)
苅谷 慶喜  福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00458217)
伊藤 浩美  福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00450669)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード認知症 / 髄液 / 糖鎖マーカー / スクリーニング法の開発
研究概要

髄液中の一群のタンパク質が、血清では見られないユニークな糖鎖修飾を受けていることを見いだした。これらの"髄液型"糖タンパク質は中枢神経系で生合成されていると考えられるため、中枢疾患マーカーになることが期待された。本研究では、これらの分子のアルツハイマー病マーカーとしての可能性を検討する。具体的には、"髄液型"糖タンパク質の中から、(1)アルツハイマー病と他の認知症で差のあるものを見出すこと(鑑別診断マーカー)、(2)コントロールから前病変である軽度認知症障害を経て、アルツハイマー病へと進行するにつれ変化するマーカーを同定すること(進行度マーカー)、(3)見出されたマーカーのハイスループット・スクリーニング法を開発すること、の3点を目標とした。共同研究の実績がある10医療機関で、臨床診断が確定した認知症関連疾患の患者から採取された髄液について検討を行い、以下の成果が得られた。(1)認知症の鑑別診断マーカーについては、髄液型トランスフェリンにより、特発性正常圧水頭症とその他の認知症(アルツハイマー病、軽度認知症、前頭葉側頭葉型認知症、レビー小体型認知症など)が鑑別可能であることが示された。(2)平成23年度の研究では、アルツハイマー病の進行度マーカーは見出されなかった。(3)タンパク質部分は同じであるが、糖鎖(マーカー)部分のみが異なる糖鎖アイソフォームを、ハイスループットでスクリーニング可能な新しい測定原理を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の目的のうち、認知症の鑑別診断マーカーについては、特発性正常圧水頭症と他の認知症の鑑別診断マーカーを見出すことができた。しかし、アルツハイマー病に特徴的な進行度マーカーは未だ見出されていない。平成23年度の研究成果である、トランスフェリン糖鎖アイソフォームの測定原理の発見は、我々独自のユニークなものであり、今後の応用展開が期待され、十分な達成度が得られたものと考えている。

今後の研究の推進方策

マーカー候補のスクリーニングについては平成23年度のみの成果であり、今後もスクリーニングを続けることによって、アルツハイマー病の進行度マーカーの発見が期待される。したがって、当初の目標を平成24年度以降も継続する。また、トランスフェリン糖鎖アイソフォームの測定法の完成を目指す。

次年度の研究費の使用計画

本研究は、多数の分子を対象としてスクリーニングを行う研究であることから、実験補助員の雇用を計画している。また、タンパク質分子の糖鎖をマーカーとする研究であることから、タンパク質部分に対する抗体および糖鎖部分を認識するレクチンなどの試薬を購入する。さらに、ハイスループット用スクリーニングでは、マイクロタイタープレートなどのプラスチック器具を購入する。その他、成果を発表するため学会参加旅費を支出する。また、論文発表の費用も支出する予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] A unique N-glycan on human transferrin in CSF: a possible biomarker for iNPH2012

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Futakawa
    • 雑誌名

      Neurobiology of Aging

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Altered γ-secretase activity in mild cognitive impairment and Alzheimer's disease2012

    • 著者名/発表者名
      Nobuto kakuda
    • 雑誌名

      EMBO Molecular Medicine

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Leucine-rich α-2-glycoprotein is a marker for idiopathic normal pressure hydrocephalus2011

    • 著者名/発表者名
      Madoka Nakajima
    • 雑誌名

      Acta Neurochirurgica

      巻: 153(6) ページ: 1339-46

    • DOI

      10.1007/s00701-011-0963-z

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 糖タンパク質糖鎖をマーカーとする認知症の診断:特発性正常圧水頭症の新規マーカー2011

    • 著者名/発表者名
      橋本康弘
    • 雑誌名

      老年期認知症研究会誌

      巻: 18 ページ: 115-116

  • [雑誌論文] 認知症の髄液学-診断マーカーとしての糖鎖修飾-2011

    • 著者名/発表者名
      橋本康弘
    • 雑誌名

      日本臨床

      巻: 69(8) ページ: 69-73

  • [雑誌論文] 認知症の糖鎖マーカー:特発性正常圧水頭症を例として2011

    • 著者名/発表者名
      橋本康弘
    • 雑誌名

      脳21

      巻: 14(1) ページ: 32-36

  • [学会発表] 次世代ポストゲノムの時代、糖鎖研究はおもしろい2012

    • 著者名/発表者名
      橋本康弘
    • 学会等名
      第75回日本皮膚科学会東京支部学術大会(招待講演)
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012 – 218
  • [学会発表] 疾患の解明と治療・創薬のための糖鎖科学(疾患と糖鎖)2012

    • 著者名/発表者名
      橋本康弘
    • 学会等名
      (財)神奈川科学技術アカデミー (KAST)平成23年度教育講座(招待講演)
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2012 – 124
  • [学会発表] 認知症糖鎖マーカーのハイスループット測定法2011

    • 著者名/発表者名
      城谷圭朗, 奈良清光, 伊藤浩美, 苅谷慶喜, 橋本康弘, 他
    • 学会等名
      第5回東北糖鎖研究会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20111209-10
  • [産業財産権] 「髄液型糖タンパク質の富化及び分離方法」:2011年12月15日に本研究の成果を書き加えた。2011

    • 発明者名
      橋本康弘
    • 権利者名
      独立行政法人産業技術総合研究所、公立大学法人福島県立医科大学
    • 産業財産権番号
      特許: 2010-280753
    • 出願年月日
      2011年12月15日

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公開日: 2013-07-10  

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