研究課題/領域番号 |
23590369
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
今泉 美佳 杏林大学, 医学部, 准教授 (40201941)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 糖尿病 / インスリン分泌 / CDKAL1 / GWAS |
研究概要 |
2型糖尿病感受性遺伝子CDKAL1は第1相インスリン分泌障害を介して2型糖尿病リスクを上げていると考えられているが、なぜこの遺伝子変異が第1相分泌低下を生じるのか不明であり重要な研究課題となっている。本研究ではCDKAL1ノックアウト(KO)マウスを主に用いて、CDKAL1の発現低下および機能不全と第1相分泌低下の関連を明確にして2型糖尿病発症の機序を明らかにすることを目的とした。野生型(WT)マウスから調製した膵β細胞においてCDKAL1は小胞体に局在していた。CDKAL1 KOβ細胞にGlucose刺激を行った所、インスリン分泌第1相のみが低下し分泌第2相はWT細胞と同程度であった。Glucose刺激に対する細胞内Ca2+上昇はKOβ細胞では大きく遅延しており、WT細胞で見られる第1相分泌時の急峻なCa2+上昇は見られなかった。電気生理学実験の結果、KOβ細胞ではGlucose刺激に対するKATPチャネルの応答の遅延および低下が観察された。KOβ細胞ではGlucose刺激による細胞内ATP生成が低下しており、その原因がミトコンドリア機能低下であることをミトコンドリア膜電位応答蛍光測定により明らかにした。一方CDK5 活性はWTとKO細胞両者に違いがなく、CDKAL1欠損によるインスリン分泌低下には CDK5 が関与していないことがわかった。以上の結果より、CDKAL1欠損はミトコンドリア機能低下によるATP生成低下を引き起し、KATPチャネルの応答性低下、それに伴う細胞内Ca2+上昇の遅延により、第1相インスリン分泌を障害することを明らかにした。CDKAL1欠損による小胞体機能低下の実体、またそれによるミトコンドリア機能低下の機序について現在検討している。またCDKAL1 KOマウスはin vivo試験において耐糖能障害は観察されず、この原因についても検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ノックアウト(KO)マウス及びトランスジェニック(Tg)マウスの繁殖低下に加え、動物実験施設のケージ不足のため、予定通りKOβ細胞、Tgβ細胞が得られず、一部実験が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
ノックアウト(KO)マウス及びトランスジェニック(Tg)マウスを自然交配ではなく、体外受精による繁殖を行うことで、実験に必要なKOβ細胞、Tgβ細胞を安定して得るようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウス繁殖低下により今年度行うことができなかったCDKAL1発現低下による分泌障害の分子機構についての検討は、翌年度初めに行うこととする。これを行うための今年度の研究費分を次年度に使用する予定である。
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