研究課題/領域番号 |
23590372
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
白川 愛子 宮城大学, 食産業学部, 准教授 (30260285)
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研究分担者 |
義江 修 近畿大学, 医学部, 教授 (10166910)
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キーワード | CXCR7 / 発現 / 乳がん / ケモカイン |
研究概要 |
本研究においては、ケモカイン受容体CXCR7の病態特異的発現制御と受容体の機能解析を行っている。乳がんにおけるCXCR7の機能を検索する目的で、CXCR7を発現している乳がん細胞株MCF-7にCXCR7特異的低分子アンタゴニストCCX771(1μM)を24時間処理し、マイクロアレイ解析を行った。 その結果、発現が上昇した遺伝子として、細胞外プロテアーゼ、エピジェネティクス制御分子、アポトーシス関連遺伝子、サイトカイン類など、また、発現が低下した遺伝子として、細胞膜タンパク質、細胞外マトリックス、サイトカイン受容体などが認められた。しかし、発現変化の大きい遺伝子の総数はそれほど多くなく、アンタゴニストの濃度や処理時間などについて条件検討が必要であると考えられる。 現在、マイクロアレイ解析で変化が認められた遺伝子について、実際の発現確認とCXCR7の発現抑制に伴う細胞機能との関連について検討を行っている。HTLV-1感染T細胞の場合には、CXCR7の発現がアポトーシス抑制に関与し、細胞増殖・生存の促進に関与していたことから、乳がん細胞株においても同様の機能が認められるかを検討するとともに、マイクロアレイで検出された遺伝子が、このような細胞機能に関与しているかどうかについても検討を行う予定である。 また、CXCR7の発現制御と機能のメカニズム解析を行うために、CXCR7トランスフェクタントの作製を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
CXCR7の機能解析に必要な低分子アンタゴニストについて、初年度まではCCX754を用いていたが、新たにCCX771が利用可能になったため、米国の供給元と「材料に関する覚書」を改めて取り交わして入手した。そのための国内外手続きと送付に約4ヶ月を要したこと、また、乳がん細胞をはじめとする種々の培養細胞を用いてCCX771の作用に関する基礎データを取り直しのために、研究の遅れが生じた。そのため、補助事業期間を延長し、現在、研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイの解析結果によっては、CXCR7アンタゴニストの濃度や処理時間を変えて乳がん細胞への影響を検討し、さらに詳細なマイクロアレイ解析を行う。 乳がん細胞をアンタゴニストで処理した場合の細胞増殖抑制において、アポトーシスが関与するかどうかを検討するとともに、マイクロアレイの解析により明らかになった遺を伝子発現の変化との関連性を検討する。また、その遺伝子の発現の変化が、他のCXCR7を発現しているがん細胞やトランスフェクタントにアンタゴニスト処理を行った場合にも認められるかを検討し、さらに、発現メカニズムの解析を行う。また、CXCR7発現細胞あるいはトランスフェクタントに炎症性サイトカインを添加して、炎症反応によるCXCR7の発現および細胞機能への影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
「現在までの達成度」の遅れている理由に挙げたとおり、CXCR7の機能解析に必要な低分子アンタゴニストについて、初年度まではCCX754を用いていたが、新たにCCX771が利用可能になったため、米国の供給元と「材料に関する覚書」を改めて取り交わして入手した。そのための国内外手続きと送付に約4ヶ月要したこと、また、乳がん細胞をはじめとする種々の培養細胞を用いてCCX771の作用に関する基礎データを取り直しのために、研究の遅れが生じた。そのため、次年度使用額が生じ、補助事業期間を延長した。 次年度における予算の使途は、細胞培養用試薬・培養用ディスポーザブルプラスチック製品、遺伝子工学関連試薬、免疫生化学実験関連試薬などの消耗品購入、その他、マイクロアレイ外部委託費などである。
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