研究課題
ヒト末梢血由来の単球およびヒト白血病細胞株を分化誘導した破骨細胞モデルを用いて破骨細胞の活性化プロセスを追跡した。骨分解の開始刺激としてATPを利用し、刺激後の変化を、①環状の接着帯(シーリングゾーン)の形成に必須のF-アクチンの再構築、②リソソームの細胞内輸送とその輸送に関わる微小管のダイナミクス、③ 骨表面への放出機構という視点から経時的に解析した。とりわけ平成23年度の研究において注目した1)ATP/P2X7刺激で活性化するチロシンキナーゼSykの下流で働くシグナル伝達分子PKCδ、2)キネシンファミリータンパク質KIF20A、および 3)細胞骨格タンパク質ビメンチンについては、各々のノックダウン型ヒト白血病細胞株HL60とcontrol-shRNAを導入したcontrolノックダウンHL60細胞を比較してその影響を検討した。1)PKCδノックダウン細胞では、分化により誘導される接着分子インテグリンの発現に抑制が認められたが、podosomeの形状や頻度に大きな差異は認められなかった。2)KIF20Aノックダウン細胞では、分化プロセスにおいて多核化が亢進して巨細胞化したが、podosome複合体についての顕著な違いは見いだせなかった。3)ビメンチンノックダウン細胞では、形態のいびつな細胞が多く、シーリングゾーンの環状形態が不明瞭であった。さらに細胞内分解に関わる分子として新たな視点で作成したSMNノックダウン細胞の作成と基礎検討を開始した。
3: やや遅れている
F-アクチン複合体であるpodosomeの形成機構に注目して標的分子のノックダウン株を作成したが、破骨細胞の分化成熟に対する影響の確認に時間を要し、成熟後のpodosome形成に特化した検討への取り組み開始が遅くなった。
平成24年度の検討で、シーリングゾーンの環状形態に影響の認められたビメンチン変異株、および新たに作成したSMNノックダウン株の解析を通して、podosome の形成、リソソームの細胞内輸送、輸送に関わる微小管のダイナミクスおよび骨表面への放出機構の解明に取り組む。
平成24年度の研究費の一部を新たに作成したSMNノックダウン細胞株の解析検討に活用する。平成23、24年度に引き続き、in vitroの細胞培養実験およびバイオイメージングシステムに必要な試薬および器具を購入する。
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