研究課題/領域番号 |
23590376
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
下重 美紀 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (00392340)
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研究分担者 |
関根 茂樹 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (10321879)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 遺伝子欠損マウスモデル / 分子標的治療薬 / 副作用発現予測 |
研究概要 |
遺伝子欠損マウスを作製し、『Tnikによる大腸発がん制御機構の解明』と『Tnikの全身臓器における生理的役割を検討することによる副作用発現予測』を行うことを目的として研究を実施している。これまでに、ヒト大腸がん細胞へのTNIK small interfering RNA導入による著しい細胞増殖抑制(Shitashige M., et al., Cancer Res. 70:5024-5033. 2010 )や、アフリカツメガエル初期胚にXTNIKのモルフォリノオリゴを注入することによる顕著な背軸形成阻害(Satow R, Shitashige M et al., J Biol Chem. 285:26289-26294.2010)を観察してきたことから、TnikのNullノックアウトマウスのホモ接合体は胎生致死の可能性も予測していた。しかしながら、予想を覆し、ホモ産仔を得ることができた。現在までのところ、詳細な解析を実施できる個体数を得るに至っていないが、発達段階についても野生型と比して顕著な相違を認めていない。今後、Tnikのホモ、ヘテロ欠失個体と野生型個体の全身臓器の詳細な解析を進めていく予定であるが、Tnikノックアウトマウスが誕生したことはTNIKを分子標的とした大腸がん治療薬についての最も致命的な副作用については少なくとも回避できるものと期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載のTnik遺伝子完全欠失 (Nullノックアウト) マウスの作製については、平成23年度中にヘテロ接合体を得る予定であった。しかし、幸運にも計画よりも若干早期にホモ接合体の誕生を確認することができた。 現在までのところ、詳細な解析を実施できる個体数を得るに至っていないため、十分な個体数を得るべく交配を進めていく予定である。また、Conditionalノックアウトマウスの作製については、Tnikloxマウスは計画通りヘテロマウスを得ることができた。以上のように現在までの、研究計画の達成度は予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
TnikのNullノックアウトマウスについては、予想を覆し、ホモ産仔を得ることができた。現在までのところ、詳細な解析を実施できる個体数を得るに至っていないが、発達段階についても野生型と比して顕著な相違を認めていない。今後、Tnikのホモ、ヘテロ欠失個体と野生型個体の全身臓器の詳細な解析を進めていく予定である。その後、Tnikを欠失することによる大腸発がん誘導剤であるアゾキシメタンに対する感受性変化を検討することで、大腸発がん過程におけるTnikの役割について検討する予定である。組織特異的Tnik遺伝子欠損マウスは、Cre/loxP発現制御系を用いて各Creマウスと交配することにより作製する。Lgr5 Cre交配マウスの時期特異的遺伝子欠損はタモキシフェン誘導性CreリコンビナーゼがloxP配列に挟まれる遺伝子領域を除去する活性を利用し、腸管幹細胞、胃幹細胞、皮膚組織特異的にTnik遺伝子の欠損させることを可能にしている。また、Tnik遺伝子による大腸発がん制御をβ-Catenin/Wnt経路を相対指標として評価するために、安定型β-Cateninを発現するCatnblox(Δex3) マウスと交配させることにより、Tnik単独で寄与する大腸発がん状態と比較解析を実施する。各比較対照群のマウス個体が得られたら、特異性のある各組織における生理的・病理的解析を実施する。特に、腸管の形態形成におけるTnikの機能を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する予定の研究費なし。
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