研究課題/領域番号 |
23590379
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 亮 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50301106)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 遺伝的多様性 / 統計解析 |
研究概要 |
ポストゲノム時代にあって、テーラーメード医療の実現が課題である。その過程では、ゲノム情報と、フェノタイプ側の諸要素(ゲノム以外のオミックスデータ並びにバイオマーカーデータ)を活用し、さまざまな疾患の診断基準の変更・臨床病型の細分化・再定義などを検討することが要請される。これを進めるためには、遺伝子多型間の非独立性と、フェノタイプ側の諸要素間の非独立性の両方を考慮した、ジェノタイプ-フェノタイプ関連の評価法を構成する必要がある。本応募研究課題では、汎用されているゲノム疫学手法と課題申請者が過去3年間に開発した手法とを拡張することにより、ジェノタイプ・フェノタイプ双方の因子間の非独立性を考慮したジェノタイプ-フェノタイプ関連評価法の開発を目的とする。平成23年度にあっては、ゲノム疫学領域において、急速に高速シークエンス技術が進展した。このため、テーラーメード医療を前提とした診断基準・臨床病型への遺伝因子の活用には、多ローカスのレアバリアントの情報を取り込むことが必須であると考えられた。これを受けて、本研究では、高速シークエンスから得られる曖昧さを伴う多型情報に対応するためのアルゴリズムの考案と実装を手掛けるとともに、本研究課題の元来の目的である多項目からなる臨床病型と遺伝子多型との関係評価のための手法のチューニングを行った。また、そのチューニングにあたっては、代数統計学の手法を導入し、それに関する理論的考察も併せて進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、計画では、手法のパフォーマンス評価にあたって、タイプ1・タイプ2エラーの両方を適切に定量・比較するための、指標の作成を第一に行う予定であった。この指標の作成は未完成であるが、その代わりに、本研究の本義である、ゲノム疫学・ゲノム情報の臨床展開のために、新規技術への対応に関して、研究を展開し、また、それを進めるにあたって、他分野の知見を導入することで学際的な側面を増進させたから。
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今後の研究の推進方策 |
大きな推進方策の変更はない。研究推進にあたって、新規技術への対応として取り組んだ、レアバリアント情報の取扱い、多次元分割表としてジェノタイプ・フェノタイプ関連を取り扱うために導入した代数統計学上の研究成果を発表することを、新たに目指すとともに、本来の目標達成に向けて推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次世代シークエンス技術の変化が大きく、出力データタイプにも顕著な違いが目立つため、第2年度はそのための技術的対処を実施するとともに、さらなる実験技術の進化を先取りする形で、データ型・データ保全についての研究を行うことを、当初研究計画に追加するも音とする。この追加に伴って、削減するべき項目が表れるものの、大きな研究の枠組みを変えることは得策ではないから、既存手法の改良にあたって、独自のやり方による改良に拘泥せず、関連領域の知見の調査と取り込みの可能性を検討し、それによる進捗を検討する。上記を実施するにあたり、情報収集費を継続して使用する。
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