研究課題
ポストゲノム時代にあって、個別化医療の実現が課題である。その過程では、ゲノム情報とフェノタイプ情報の双方の諸要素を活用することが求められている。本課題では、特に、フェノタイプ側の諸要素(疾患診断基準や亜型の定義情報など)を取り入れた解析方法の開発・実装を目指している。特に、ジェノタイプ側の複数因子の非独立性とフェノタイプ側の複数因子の非独立性の配慮を課題とする。本研究課題では、初年度と第2年度(本報告年度)において、特に、フェノタイプ側の諸要素を活用するにあたっての解析手法に関する課題である。複数の疾患分類クライテリアからなる疾患のクライテリアアイテムの相互関係を評価し、それに基づくクライテリアの分類・クラスタリングを実施するとともに、患者集団を同様に分類・クラスタリングする手法の実装とその挙動についての検討を行った。また、その過程で構築した手法を実疾患データを解析する研究グループに提供した。同研究グループはその成果を疾患の定性的・定量的評価としてまとめる段階に入った。同時に、次世代シークエンサーの導入に伴う、ジェノタイプ情報の不確実性への対処も必須となるとともに、レアバリアントを用いた解析の定式化が実解析界では喫緊の課題としてクローズアップされてきた。ジェノタイプマーカー間の非依存性として、本研究課題が取り組み始めた主な標的は連鎖不平衡と集団構造化であったが、ここへきて、レアバリアントにおけるそれへの対処も必要となったことから、その点も含めて妥当な解析法の構成のための情報収集と予備検討を実施した。
2: おおむね順調に進展している
フェノタイプを構成する複数因子の非依存性に関しては、それのみを取り出して、疾患患者集団情報を評価する枠組みを構成し、研究グループに提供することで、間接的な成果を出している。また、包括的な手法の開発・報告には至っていないが、遺伝的多様性を用いた疾患遺伝因子解析研究界が求める方向へと研究の主眼をシフトしながら研究を進めていることは、本課題の本質的な目的に合致するものであると考える。
本研究課題は、開発・実装手法それ自体を研究成果とするには至っていないが、そのアウトプットを疾患解析・遺伝因子解析に活用するという形で関節的に社会還元する段階に至っている。次年度は研究の最終段階であるが、開発・実装手法のうち、研究コミュニティにすでに提供した分を除去したうえで残る、手法としての新規性の大小に応じて、手法としての情報発信・社会還元を検討するとともに、この2年間で同定された手法の持つ要改善点につき、さらなる検討を進めることとする。
情報収集、計算機的ルーチンに必要なPC・消耗品、成果発表のための雑費に主に使用する予定である。
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