研究課題
本研究の目的は、酸化ストレス応答の負のマスター転写因子Bach1をRNA干渉にて発現抑制することにより抗酸化遺伝子を協調的に発現させることが、虚血性心血管疾患に対する新たな分子標的治療になりうるか否かを検討することである。これまでの検討により、アテロコラーゲンを用いることにより下肢へsiRNAが効率よく導入されることが明らかになった。マウスの下肢にBach1に対するsiRNA(si-Bach1)とアテロコラーゲンの複合体を筋注したところコントロールsiRNA投与群に比して、Bach1の発現は減少し、Bach1の標的遺伝子であるヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)の発現は有意に増加した。マウスにおいて下肢虚血モデルを作成し、si-Bach1/アテロコラーゲン複合体を虚血肢に筋注したところ、虚血肢における血流はコントロールsiRNA投与群に比して有意に増加していた。3週間後にと殺し、虚血筋における毛細血管密度を検討したところ、si-Bach1投与群の方が有意に多かった。これらのことから、RNA干渉によるBach1のノックダウンが下肢虚血に対する新たな血管新生療法として有用である可能性が示唆された。
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