研究課題/領域番号 |
23590388
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小山 徹也 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50233622)
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キーワード | EGFR / amplification / polysomy |
研究概要 |
1997年から2010年に手術が行われたTriple-negative乳癌のホルマリン固定・パラフィン包埋検体(FFPE)を用いてRetrospectiveな検討を行った。LAT1に加えて、今回はEGFRに注目し、EGFR、ER、PgR、HER2、サイトケラチン5/6、Ki-67、p-Akt、p-mTOR (LAT1の下流)などについては免疫染色を行いタンパク発現を確認し、EGFR遺伝子増幅については、自動染色装置にてDISHを行い判定した。また、EGFR遺伝子の活性型変異については、FFPE検体よりDNAを抽出し、Smart-Amp2法を用い、Real time PCRシステムにて検出した。 病理組織学的な検討では、EGFR発現を伴うTriple-negative 乳癌は、特殊型乳癌(アポクリン癌、化生癌など)と強く関連していたが、他の臨床病理学的因子については有意差を認めなかった。また、DISHの結果ではEGFR遺伝子増幅は認めなかったものの、EGFR発現は第7染色体のポリソミー細胞の数もしくはHigh polysomy群との関連を認めた。遺伝子増幅を伴はないエピジェネティックな機序が関与している可能性がある。遺伝子変異に関する検討では、Exon19およびExon21の活性型遺伝子変異はTriple-negative乳癌において一例も認めなかった。Triple-negative 乳癌においてp-Aktとp-mTORの発現は強く関連していたものの、いずれもEGFR発現との関連は認められなかった。腫瘍増殖経路の一つであるAkt経路はTriple-negative乳癌において腫瘍増殖の役割を担っている可能性があるが、Akt経路の活性化についてはEGFR以外のシグナルも関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
triple-negative乳癌とLAT1発現に関しては、すでに一定の結果をだし論文に掲載された。さらにEGFRの発現、増幅、遺伝子変異に関しても検索した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は創薬に向けた、LAT1関連のあらたなシーズ、バイオマーカーの研究に着手したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度の研究費の残りが生じた理由は、特にLAT1関連消耗品が予想より少なく研究が完結したからである。その残金とあわせ、今年度は研究の継続に加え、新たなバイオマーカー検索に着手したい。たとえばLAT1以外のトランスポーターを考えている。
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