研究課題/領域番号 |
23590389
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
太田 聡 千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (90324342)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | メルケル細胞癌 / メルケル細胞ポリオーマウイルス / 皮膚腫瘍 / 基底細胞癌 |
研究概要 |
東京大学医学部附属病医院の皮膚腫瘍や、虎の門病院のメルケル細胞癌を用いた検討をした。メルケル細胞ウイルスが検出できるか否かを、PCRはKatanoら6つのNested PCRのセットと条件を利用した(J. Med. Virol. 81:1951-1958)。PCRの系ではメルケル細胞癌9例(9/9)、基底細胞癌1例(1/46)、光線性角化症3例(3/52)が陽性であった(テーブル1,図3)。他の代表的皮膚腫瘍は陰性であった。(ボーエン病(0/34)、悪性黒色腫(0/5)、母斑(0/7)、脂漏性角化症(0/5)、原発性皮膚未分化大型リンパ腫(0/5)。また皮膚原発の神経内分泌癌であるメルケル細胞癌と比較のため他の臓器の代表的神経内分泌腫瘍である肺小細胞癌の皮膚転移の症例も検討したが陰性であった(0/4)。6つのPCRプライマーのうち、large T抗原でのC末端側に相当するLT2の領域の検出率が低く、メルケル細胞癌(4/9)、基底細胞癌(1/1)、光線性角化症(2/3)であった。広範囲の欠失突然変異は報告されていないため、LT2の5’側の、既報における遺伝子変異の多い領域を検討した。LT2の増幅が検出できなかったメルケル細胞癌5例のPCRで増幅されず、微小病変の基底細胞癌1例はサンプルの残存がなく検討できなかったが、メルケル細胞癌4例、光線性角化症3例は一定の領域で検討できた。メルケル細胞癌の2例では既報と同様、または新規のTruncation mutationが検出された。C末端が欠損したlarge T抗原が細胞内で発現することは腫瘍の癌化に重要な役割を果たすとされており、今後さらなる解析を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メルケル細胞ポリオーマウイルスの腫瘍ウイルスとしての腫瘍発生メカニズムを研究課題としている。関連腫瘍の検出と、腫瘍で検出されたメルケル細胞ポリオーマウイルスの遺伝子配列の解析から、既報と同様または新規のTrancation mutationが検出されており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
千葉大学医学部附属病院での皮膚腫瘍における、メルケル細胞ポリオーマウイルス感染の有無の検出を検討し、さらなる変異や、コピー数解析につなげる。
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次年度の研究費の使用計画 |
皮膚腫瘍をサンプルに、免疫染色やPCRでの検出、遺伝子変異や、コピー数解析を検討する。時に、免疫染色は、これまでの結果から、特異度が高く、スクリーニングの方法と適していると考える。より感度の高い方法を模索したい。
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