研究課題
本研究において、前年度までに子宮内膜症による異所性出血に伴う局所の鉄過剰で発生する酸化ストレスによる遺伝子変化の特徴について、Fe-NTA投与ラット腎癌モデルと共通して、Met遺伝子の増幅が認められることを明らかにし、報告した(Yamashita Y et al. PLoS One 2013, Akatsuka S, Yamashita Y et al. PLoS One 2012)。ただし、動物モデルで認められるINK4A領域の遺伝子欠損はヒト卵巣明細胞腺癌では見られなかったことが相違点であった。そこで本年度では、子宮内膜症関連non-coding RNAであるANRILと共同してINK4A領域の転写を抑制することが知られているポリコーム蛋白であるCbx7に注目し、卵巣明細胞腺癌における役割について解析した。すると、INK4A領域の転写制御だけではなく、アポトーシス関連因子であるTRAILの発現制御を介して腫瘍の予後不良因子として機能していることが明らかとなった(Shinjo K, Yamashita Y et al. Int J Cancer 2014)。さらに、当該年度においては、卵巣明細胞腺癌の新たな鑑別マーカーとしてnapsin Aがあることを報告した(Yamashita Y et al. Mod Pathol 2014)。このように、本研究によって卵巣明細胞腺癌の分子特徴が明瞭になり、今後の診断、治療に直結する有意義な研究であったと考えられる。今後は新たな治療法の開発に着手する予定である。
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