研究課題/領域番号 |
23590396
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
新谷 路子(田中路子) 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (40207147)
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研究分担者 |
鴨志田 伸吾 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (70351020)
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キーワード | リン酸化caspase-9 / mitotic catastrophe / 細胞周期 / 免疫組織化学 / 蛍光多重染色 / survivin / autophagy / apoptosis |
研究概要 |
本研究の目的は、リン酸化caspase-9の免疫組織化学染色が優れたmitotic catastropheの証明法であることを実証することである。平成23年度は、proximity ligation assay(PLA法)によるcyclin B1・cdc2複合体の検出を、蛍光色素標識法および酵素標識法の2種の検出法を用いて試みたが結果は不安定であった。そこで、平成24年度は、(1)パラフィン切片におけるPLA法の至適条件の検討、(2)同種動物から作製された抗体を含む3種の1次抗体を用いた蛍光多重染色の検討、(3)G2/M期に発現するタンパク質であるsurvivinの胃癌・大腸癌における癌細胞内局在に関する検討、を行った。結果は以下の通りであった。 (1) PLA法を用いて、2種のタンパク質複合体の検出および1種のタンパク質発現の検出を行った。反応温度・時間、洗浄方法等の条件を変化させ検討したが、陽性シグナルの増強・安定化には至らなかった。 (2) 加熱処理後の蛍光が比較的保存されると言われている蛍光色素(FITC、Cy3、Cy5)を用いて、種々の1次抗体の組合せにおける蛍光3重染色の至適条件を検討中である。 (3) 胃癌72例および大腸癌78例を対象としてsurvivin免疫染色を行ったところ、陽性症例の割合は、胃癌(核;49%、細胞質;35%)、大腸癌(核;72%、細胞質;56%)であり、胃癌では核と細胞質での発現に相関が見られたが、大腸癌では相関は見られなかった。以上から、胃癌と大腸癌では、survivinによる細胞死抵抗性のメカニズムに違いがある可能性が示唆された(第102回日本病理学会総会で発表予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リン酸化caspase-9 免疫染色が優れた mitotic catastrophe 証明法であることを実証するために、proximity ligation assay法により cyclin B1・cdc2複合体の検出を試みたが、陽性シグナルは弱く、種々の条件を設定し検討を重ねたが、安定した結果は得られなかった。そこで、同種の動物より作製した抗体を含む3種の1次抗体を用いた蛍光多重染色の至適染色条件を検討している。 それと同時に、G2/M期に発現するタンパク質であるsurvivinの、胃癌・大腸癌における癌細胞内局在に関して検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 蛍光3重染色を行い、リン酸化caspase-9陽性細胞における、cyclin B1、cdc2、14-3-3σの発現の有無を明らかにする。 (2) 胃癌および大腸癌におけるリン酸化caspase-9、リン酸化Akt、活性型caspase-3、-8および-9、AIF、LC3、survivin、Smac/DIABLOの発現を明らかにし、主たる細胞死経路を解明する。また、分化度の違いについても考察する。 (3) 胃癌・大腸癌以外の腫瘍についても、リン酸化caspase-9、リン酸化Akt、活性型caspase-3、-8、-9、AIF、LC3、survivin、Smac/DIABLOの発現を明らかにし、主たる細胞死経路を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
免疫組織化学染色(蛍光抗体法、酵素抗体法)に必要な試薬および消耗品の購入を行う。また、成果報告(学会発表、論文投稿)のための経費にあてる。
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