研究概要 |
mitotic catastropheは、細胞分裂の異常により染色体分離が出来ないためG2/M期から直接細胞死に至るものである。本研究の目的は、リン酸化caspase-9 (p-cas-9)がmitotic catastropheの優れたマーカーであることを免疫組織化学的に証明することである。平成23年度は、p-cas-9抗体の特異性を確認するために、アルカリフォスファターゼによる脱リン酸化処理を行い陰性化することを証明した。次に、p-cas-9とcyclin B1・cdc2複合体および14-3-3-σの局在を比較するため、proximity ligation assay法(蛍光色素標識法および酵素標識法)を試みたが、シグナルが弱く不安定で検出は困難であった。 そこで、平成24年度は、G2/M期に発現するタンパク質でありapoptosis阻害活性をもつsurvivinの発現を、大腸癌および胃癌を用いて調べ、両腫瘍の細胞死経路の相違を解明した。さらに、平成25年度は、survivin活性を抑制するSmac/DIABLOの発現を明らかにし、 survivinとの関連を免疫組織化学的に解析した。その結果、 (1) 胃癌と大腸癌では、survivinによる細胞死抵抗性のメカニズムに違いがある可能性が示唆された(Shintani M, et al. Int J Clin Exp Pathol 6: 2919-27, 2013)。 (2) 大腸癌は胃癌と比較すると、survivinだけではなくSmac/DIABLOも高発現しており、大腸癌におけるSmac/DIABLOの発現は、 survivinの抗apoptosis作用を抑制するためにup-regulateされている可能性が示唆された(Shintani M, et al. Oncology letters 印刷中)。
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