研究課題
本研究では食道扁平上皮癌の発生・増殖・進展におけるM2マクロファージ(MΦ)/癌細胞相互作用を臨床検体ならびに培養系を用いて解析し、分子病態における意義を明らかにするとともに、早期病変の正確な病理組織診断に応用することを目的とする。本研究計画では、浸潤性食道扁平上皮癌へのM2 MΦ浸潤と臨床病理学的要因の相関解析【研究1】、食道扁平上皮癌細胞とM2 MΦの細胞生物学的相互作用の解析【研究2】、食道上皮内腫瘍形成におけるM2 MΦの役割の解明と病理診断への応用【研究3】を平行して行う。平成25年度はマイクロアレイ解析で抽出された候補遺伝子の機能解析を行うとともに、それらの食道癌における臨床病理学的意義について検討した。得られた結果は以下のごとくである。① マイクロアレイ解析によりM2MΦに分化したTPA処理単球由来細胞THP-1で特異的に発現誘導される遺伝子の内Cyr61は食道癌細胞からも分泌され、MEK/Erkシグナル系の活性化を介してTHP-1の運動能を亢進するとともに、CD204の発現を誘導した。Cyr61の食道癌組織における免疫組織化学的発現レベルはリンパ節転移および癌組織内CD204陽性MΦ数と相関し、Cyr61が食道癌微小環境においてMΦのリクルートとM2分化に関与している可能性が示唆された。② 前年度確立した健常人末梢血単球由来MΦの食道癌細胞培養上清によるM2MΦ分化系のマイクロアレイ解析を実施し、M2分化で特異的に発現変化する遺伝子を抽出した。その内GDF15が、MEK/ErkおよびAktシグナル系の活性化を介して食道癌細胞の生存・増殖を亢進させる事を明らかにした。
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