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2011 年度 実施状況報告書

濾胞性リンパ腫の高悪性度化に関る分子病理学的機序と予測因子

研究課題

研究課題/領域番号 23590398
研究機関岡山大学

研究代表者

吉野 正  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70183704)

研究分担者 岡 剛史  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50160651)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード悪性リンパ腫 / 濾胞性リンパ腫 / 高悪性度化 / 消化管濾胞性リンパ腫
研究概要

高悪性度化については、現在病理組織標本、臨床データを集積し、免疫組織化学的手法により検討中である。また、ヒト由来濾胞性リンパ腫細胞株(3種類:低悪性度~高悪性度由来)、高悪性度化B細胞リンパ腫細胞株を用い、細胞骨格を形成する因子について検討したところ、ある遺伝子が高悪性度化するにつれ発現低下することが判明した。このことについて、実際の患者検体について検討し、さらに細胞生物学的な意義を検討する予定である。 エピジェネティクスに関しては、節外に発生し予後良好とされる消化管濾胞性リンパ腫(特に十二指腸濾胞性リンパ腫)と節性濾胞性リンパ腫についてこれまで我々が報告している8つの遺伝子を標的としてそのプロモーター領域のメチル化を検討したところ、ある遺伝子において十二指腸濾胞性リンパ腫では半数例(12例中6例)でメチル化が検出され、節性濾胞性リンパ腫ではこのメチル化が見られなかった(4例中0例)。また、腫瘍細胞における蛋白発現を免疫組織化学的に検討したところ、この遺伝子の蛋白発現が明らかに低下しており、この遺伝子のメチル化が消化管濾胞性リンパ腫における腫瘍化の一因である可能性が考えられた。今後、さらに症例数を増やし検討し、臨床病理学的な意義についても検討する予定である。 DNAマイクロアレイについては、現在十二指腸濾胞性リンパ腫、節性濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫について網羅的に解析している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高悪性度化についての臨床病理学的検索は、多施設共同研究が必要なため、該当症例の抽出と症例集積が必要であるが、当施設における高悪性度化症例で病理組織学的に検討が可能な症例を集積し、多数のマーカーによる免疫組織学的な検討を加えており、何らかの因子が抽出できる可能性が期待できると考えている。 エピジェネティクスに関しては、十二指腸濾胞性リンパ腫において高頻度にプロモーター領域のメチル化をおこした遺伝子が判明したため、今後この遺伝子に着目してさらなる臨床病理学的、分子病理学的検索が可能と考えられる。また、腫瘍発生の背景となる病変についても言及できる可能性があると考えている。 DNAマイクロアレイにについても現在進行中で、当初の研究の目的で記載したないようについておおむね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

(1)高悪性度化についての臨床病理学的検索については、さらに症例を集積して、多数のマーカーによる免疫組織化学的手法をもちいて検討していく予定である。また、細胞骨格を形成する因子については、癌の領域においては腫瘍の進展、浸潤の過程において強く関与することが報告されているものの、リンパ系腫瘍についてこの観点からはほとんど研究されておらず、今後患者検体などを用いて臨床病理学的検討を行う予定である。また、該当する細胞株を用いて細胞生物学的な検討も加える予定である。(2)エピジェネティクスに関しては、十二指腸濾胞性リンパ腫で高率にメチル化されている遺伝子に着目して、免疫組織化学的手法を用い、さらなる検討を加える。また、腫瘍発生の背景となる病変についても同様にMSPを行い、検討する。(3)DNAマイクロアレイでは、クラスター解析まで終了しており、今後それぞれの腫瘍間で特異的に変動する遺伝子を抽出し、GO解析、パスウエイ解析を加え、検討していく予定である。

次年度の研究費の使用計画

今後の研究の推進方策にのっとった使用計画を立てている。(1)臨床病理学的検索のため、免疫染色に必要な試薬類に使用予定。(2)エピジェネティクス関連として、PCRに必要な試薬類、メチル化をうけている遺伝子に関して蛋白、mRNAの発現解析を行う上での必要な試薬類。(3)マイクロアレイを進める上での必要な試薬類、リアルタイムPCR法や免疫染色による解析結果の再検討のための試薬類。以上、(1)~(3)までの内容で使用予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 造血器腫瘍の診断と治療 病理診断2012

    • 著者名/発表者名
      吉野 正、高田尚良
    • 雑誌名

      日本臨床

      巻: 70巻増刊号2 ページ: 193-197

  • [雑誌論文] Primary cutaneous CD30 positive T-cell lymphoproliferative disorders with aberrant expression of PAX5: Report of three cases.2012

    • 著者名/発表者名
      Hagiwara M, Tomita A, Takata K, Shimoyama Y, Yoshino T, Tomita Y, Nakamura S
    • 雑誌名

      Pathology International

      巻: 62 ページ: 264-270

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthetic retinoid Am80 ameliorates chronic graft-versus-host disease by down-regulating Th1 and Th17.2012

    • 著者名/発表者名
      Nishimori H, Maeda Y, Teshima T, Sugiyama H, Kobayashi K, Yamasuji Y, Kadohisa S, Uryu H, Takeuchi K, Tanaka T, Yoshino T, Iwakura Y, Tanimoto M.
    • 雑誌名

      Blood

      巻: 119 ページ: 285-95

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Germinal center B-cell-like diffuse large B-cell lymphoma of the duodenum is associated with t(14;18) translocation.2011

    • 著者名/発表者名
      Tamura M, Takata K, Sato Y, Nakamura N, Kikuti YY, Ichimura K, Tanaka T, Tari A, Maeda Y, Tanimoto M, Okada H, Yoshino T.
    • 雑誌名

      Pathology International

      巻: 61 ページ: 742-748

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Nodal follicular lymphoma without complete follicular dendritic cell networks is related to localized clinical stage.2011

    • 著者名/発表者名
      Cui W, Che L, Sato Y, Huang X, Takata K, Orita Y, Goto N, Maeda Y, Tanimoto M, Yoshino T.
    • 雑誌名

      Pathology International

      巻: 61 ページ: 737-741

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 濾胞性リンパ腫の診療・研究に組織学的gradingは必要か?2011

    • 著者名/発表者名
      高田尚良、吉野 正
    • 雑誌名

      血液内科

      巻: 63 ページ: 1-7

  • [雑誌論文] Primary gastrointestinal follicular lymphoma involving the duodenal second portion is a distinct entity: A multicenter, retrospective analysis in Japan.2011

    • 著者名/発表者名
      Takata K, Yoshino T et al.
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 102 ページ: 1532-1536

    • 査読あり
  • [学会発表] 十二指腸濾胞性リンパ腫の発症機構とエピジェネティクス解析2012

    • 著者名/発表者名
      高田尚良、岡 剛史、安藤翠、都地友紘、佐藤康晴、中村直哉、吉野 正
    • 学会等名
      日本病理学会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      2012年4月28日
  • [学会発表] Gastrointestinal follicular lymphoma: distinction of duodenal follicular lymphoma2012

    • 著者名/発表者名
      Katsuyoshi Takata, Yasuharu Sato, Naoya Nakamura, Seiichi Kato, Eiko Hayashi, Tadashi Yoshino
    • 学会等名
      The 11th Korean-Japanese Lymphoreticular Workshop 2012
    • 発表場所
      韓国
    • 年月日
      2012年1月28日
  • [学会発表] リンパ腫における間質・炎症の役割2011

    • 著者名/発表者名
      吉野 正、高田尚良
    • 学会等名
      日本癌学会(招待講演)
    • 発表場所
      愛知県
    • 年月日
      2011年10月4日

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公開日: 2013-07-10  

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