研究課題
培養ヒト正常膵管上皮細胞系を確立し、膵癌において高発現しているタイト結合蛋白claudin(CL)-4、CL-18およびPKCシグナル分子の発現調節機構の解明およびそれらの分子を標的とした膵癌分子標的治療の基礎的研究を実施した。1)hTERTを用いてヒト正常膵管上皮細胞培養系を確立した。2)ヒト正常膵管上皮細胞と膵癌細胞株におけるCL-4およびCL-18の発現は共にPKCシグナルにより調節されているが、そのisoformには違いがみられた。さらに膵癌細胞株におけるCL-18はDNAのメチル化の作用も受けていた。3)ヒト正常膵管上皮細胞と膵癌細胞株におけるCL-4を介したCPEの感受性比較した結果、ヒト正常膵管上皮細胞においては、CPE処置によりバリア機能の低下はみられるものの、CPEによる細胞障害作用は認められなかった。膵癌細胞株においては、CPEの用量依存性に細胞障害がみられた。ヒト正常膵管上皮細胞と膵癌細胞株におけるCPEの作用の差は、CL-4の局在の差によるものと考えられた。4)ヒト膵癌細胞株におけるCL-4を介したCPEの感受性をPKCシグナル伝達の面から解析した結果、PKCおよびCL-4のリン酸化に依存性がみられ、PKCalpha阻害剤によりCPEの感受性は増加した。5) Dr. Soiniとの共同研究によりヒト膵癌組織においては、CL-7およびCL-18の発現と分化度の相関関係がみられた。以上のことより、膵癌のCL-4およびCL-18は、正常膵菅上皮と同様にPKCシグナルにより調節されていた。そして、その高発現の原因としては、PKCalphaの活性化およびメチル化が関与していると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
平成23年度に実施する実験においては、ほぼ終了し有意義な結果を見出すことができた。
ヒト正常膵管上皮細胞と膵癌細胞株を用いて、癌の悪性化に関与がみられるepithelial-to-mesenchymal tradition (EMT)におけるclaudinの発現だけでなくmarvel familyの発現とPKCシグナルとの関係を詳細に解析する。
消耗品費(抗体、培養器具、蛋白およびRNA解析用試薬、形態観察用試薬、機能解析試薬など):135万円、旅費(国内学会):10万円、その他(材料費):5万円
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (2件) 図書 (5件)
Prostate
巻: 72 ページ: 351-360
Clinical & Experimental Allergy
巻: 42 ページ: 218-228
Acta Otolaryngol
巻: 131 ページ: 116-123
Toxicol Appl Pharmacol
巻: 250 ページ: 29-38
Acta-Otolaryngol
巻: 131 ページ: 861-868
J Cell Biochem
巻: 112 ページ: 1761-1772
Cell Mol Biol Lett
巻: 16 ページ: 385-397
Mol Biol Cell
巻: 22 ページ: 1-13
Exp Cell Res
巻: 317 ページ: 2288-2298
J Immonol
巻: 187 ページ: 2586-2594
Virus Res
巻: 160 ページ: 360-366
Cell Tissue Res
巻: 346 ページ: 369-381
Adv Otorhinolaryngol
巻: 72 ページ: 28-30
巻: 72 ページ: 153-156