研究概要 |
非肺癌成人解剖例53例の区域気管支および亜々区域気管支以降の末梢気管支の粘膜上皮基底細胞、中枢型肺扁平上皮癌手術例20例の癌組織および背景気管支上皮基底細胞にちついて、組織切片を用いたQ-FISH法によるテロメア長の測定を完了することができた。解剖例53例中、非喫煙者(NoS)20、過去喫煙者(ExS)14、現喫煙者(CuS)10、不明9、肺癌20例は19例が喫煙者、1例不明であった。 測定結果は、非癌症例の区域気管支の平均テロメア長が標準化telomere:centromere ratio(NTCR)で、NoS 1.18, ExS 1.17, CuS 1.51, 肺癌例の背景気管支粘膜LKB 1.38, 腫瘍組織LKT 1.46であった。NoS及びExSに有意差はなく、これらに対しCuSは有意にテロメアが長かった。末梢気管支でもほぼ同様な結果であった。LKBおよびLKTはNoSとCuSの中間の値を呈した。これまでの検索では、年齢によるテロメア長の有意な変動はみられなかった。また気管支上皮のKi67標識率、基底細胞過形成の有無ともテロメア長の有意な相関はみられなかった。
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