研究課題/領域番号 |
23590413
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
東 守洋 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (00323395)
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研究分担者 |
田丸 淳一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30188429)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 悪性リンパ腫 / Matermind / Notchシグナル / 免疫組織化学 |
研究概要 |
Mastermind はNotchシグナルを正に制御し芽中心B細胞からmarginal zone B-cellへの分化に重要な役割をはたす。Notch についてはその遺伝子変異により恒常的に活性化されたNotchがT細胞性急性白血病発生に寄与することが知られている。しかしながらB細胞リンパ腫でのNotch-Mastermindシグナル意義は不明であり、Mastermindについては報告すらない。本研究では芽中心由来のB細胞性リンパ腫、特にホジキンリンパ腫におけるMastermin の発現と役割について解析することを目的とした。初年度はMastermindを検出するための免疫組織化学の方法の確定、検討する症例データベースの作製、実際の染色を主に行った。1. Mastermind蛋白同定のための免疫組織化学法の検討:まず、各種細胞株における蛋白発現をWestern blot法および免疫組織化学により検討した。抗体の選定、染色条件の決定を行った。2. リンパ腫症例におけるMastermind発現の検討:B細胞リンパ腫症例(ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫)の症例データベースを構築した。症例は全例で300例集積できた。Mastermindについてはその同位体が3種(MamL-1, MamL-2, MamL3)あり、いずれも免疫組織化学的に発現検討を行った。ホジキンリンパ腫についてはその亜型での発現の違いがあるかについて検討した。またMamLの発現の有無とBcl-6発現との関連を検討した。3. Mastermindの発現と臨床病理学的特徴の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. Mastermind蛋白同定のための免疫組織化学法の検討:各種細胞株における蛋白発現をWestern blot法および免疫組織化学により検討した。抗体の選定、染色条件も決定し得た。2. リンパ腫症例におけるMastermind発現の検討:一部症例で臨床情報が不足しているが、その数は全体症例の数%であり、研究遂行に問題はない。3. Mastermindの発現と臨床病理学的特徴の検討: 症例の基本情報の解析は終了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は悪性リンパ腫におけるMastermindの役割について検討する。まず、正常リンパ節におけるB細胞分化段階におけるMastermind発現を、正常リンパ節からMastermind発現細胞について細胞分離を行った後、免疫グロブリンの再構成、体細胞変異について検討、各種マーカー発現の検索を行う。Mastermind発現陽性細胞と陰性細胞のmRNA、タンパクを回収し、RT-PCR、ウエスタンブロットで各種分化マーカーの発現を検討する。次に悪性リンパ腫におけるMastermindの機能解析を目的とし、芽中心由来のものを含む各種B細胞株にMastermind分子を遺伝子導入もしくはRNAiによるノックダウンを行い1) Notchシグナルへの影響2)細胞増殖およびアポトーシスへの影響3)マーカー分子発現の変化について検討する。1)NotchシグナルについてはNotchシグナルの標的であるHes-1 promoterを用いたルシフェラーゼアッセイとNotch遺伝子の標的probeを用いたゲルシフトアッセイで行う。各種培養細胞株間でNotchシグナルの反応に違いがあるか検討する。2)Mastermindによる細胞増殖およびアポトーシスに影響については、増殖能はMTTアッセイを用いて、アポトーシスについてはTunnel法を用いて検討する。3)分化マーカーの変化については免疫組織化学、ウエスタンブロットで行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
正常リンパ節からMastermind発現細胞について細胞分離を行うため、磁気ビーズを用いた細胞分離を行う。分離細胞についての各種マーカー発現は、免疫組織化学、フローサイトメトリー、RT-PCR、Western blotで検討する。このため、これら実験に必要な各種試薬を購入する。免疫組織化学的には蛍光顕微鏡を用いて蛋白局在についても検討するが、このための励起光光源を購入予定である。
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