研究課題
樹立抗体の血清診断マーカーとしての有用性の検討:昨年は肺腺癌を中心に検討したが、今年度は神経内分泌肺癌細胞を免疫源として作製した抗体との反応性をROC解析法で検討した。その結果、健常人と各種肺癌患者血清との比較でAUCが0.7以上の抗体は27個あり、0.98を示す抗体もあった。これら27抗体中、免疫ブロット法とホルマリン固定・パラフィン包埋組織での免疫染色法で使用可能な抗体は8個であり、その中で小細胞癌のみに強い染色性を示す抗体を見出し、抗原同定を行った。その結果、紫外線やプラチナ製剤などによるDNA損傷を修復する機能を有するRad23Bに対する抗体であった。これら抗体に関しては組織診断、血清診断マーカーとしての有用性をさたに検討していく。また、樹立したMHY9とBasiginに対する抗体は肺腺癌の予後不良マーカーとなることをまとめ、英文論文として投稿した。肺癌特異的もしくは抗癌剤感受性予測可能な自己抗体の獲得:プラチナ製剤の感受性を予測可能な血清中の自己抗体として抗Galectin-3抗体を同定し、個々の抗癌剤治療前の血清や肺生検材料における反応性を検討した。その結果、抗癌剤治療がPR,SDであった患者群に比して効かなかったPD群の患者では有意に自己抗体量が多いこと、両者のROC解析ではAUCが0.8で、治療前に抗癌剤の効果が予測可能であること、生検組織でも同様の傾向を示した。現在、論文校正中である。また、二次元電気泳動法を用いた自己抗体の獲得法として、患者血清と同一患者の肺癌組織もしくは細胞株の両者で比較検討した。その結果、両者で獲得される自己抗体の種類は大きく異なること、同一患者の血清と組織における検討では、腫瘍細胞に加えて腫瘍間質に対する自己抗体の獲得も可能であることを見出し、報告した (Biomed Res 35(2): 133-143, 2014)。
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