研究課題
多形腺腫は、唾液腺腫瘍の中で最も発生頻度の高い良性腫瘍である。多形腺腫の約6%に当たる症例が悪性化することが知られており、そのような症例を多形腺腫由来癌と呼ぶ。本研究では、多形腺腫の悪性化における発癌機序の解明を目的に、組織標本を用いた形態学的・免疫組織化学的・分子病理学的解析を行った。まず、多形腺腫由来癌症例の標本を組織学的に検討した結果、悪性成分は唾液腺導管癌が最も多く、その他、筋上皮癌、腺癌NOSの順であった。唾液腺導管癌発生例では、筋上皮マーカーを用いた免疫組織化学的検討によって、癌細胞で置換された多形腺腫内の導管構造部は、腫瘍性筋上皮細胞によって縁どられていることがわかった。この結果から、癌細胞は多形腺腫の導管上皮細胞から発生したであろうことが示唆された。また、免疫組織化学的に、悪性成分は有意にKi-67陽性率が高く、悪性成分にのみp53、HER2、およびARがびまん性に陽性であった。つぎに、多形腺腫由来癌25症例からDNAを抽出し、H-, K-, N-ras遺伝子のcodon12, 13および61の点突然変異の有無を検索したが、いずれの症例においても異常を見出し得なかった。さらに、他施設との共同研究により、唾液腺導管癌32例においては、免疫組織化学的にARとEGFR陽性例が各々24例(75%)と26例(81.3%)と高率であり、免疫組織化学とFISH法の両方がHER2陽性であった症例は14例(43.8%)であることがわかった。また、これらのマーカーと無病生存期間との有意な関連性が認められた。現在、症例数を増やして、免疫組織化学的な癌抑制遺伝子産物、癌遺伝子産物、細胞周期関連蛋白、およびホルモンレセプターの発現様式やFISH法による癌遺伝子増幅の有無を検討中である。本研究内容は唾液腺癌の診断や遺伝子治療の基礎的データとして必要不可欠なものになると考えられる。
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