研究概要 |
唾液腺腫瘍の悪性化機構の解明を目的に、多形腺腫由来癌症例の病理学的解析を行った。多形腺腫由来癌の癌成分で最も多いのは唾液腺導管癌であり、癌発生の早期では既存の多形腺腫の導管を癌細胞が置換しながら増殖していた。また、癌成分は多形腺腫成分に比べて細胞増殖能が高く、癌成分のみにp53とHER2が約半数の症例に陽性であった。H-, K-, N-ras遺伝子の変異はなかったが、癌成分にのみp53遺伝子のLOHと点突然変異が認められた。さらに、唾液腺導管癌32例中、AR、HER2、およびEGFRの陽性例が各々75%、44%、および81%に認められ、ARとHER2陰性例は2年無病生存率が有意に低かった。
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