研究課題
1.具体的内容(1) 目的 動脈老化、大動脈解離症では、動脈壁の脆弱性、先天的異常が指摘されているが、その本態に関しては不明である。本研究の目的は動脈中膜組織のプロテオーム解析により動脈老化、大動脈解離症のタンパク質、タンパク質修飾を網羅的に検討する事である。(2) 方法 大動脈解離症の解析については対照群6例、解離症例6例、加齢変化の解析については若齢者3例、中齢者5例、高齢者4例の解剖例で胸部大動脈壁を採取し実験に用いた。大動脈中膜は、マッシャーやジルコニアビーズを用いて破砕し、タンパク質を抽出した。蛍光色素を用いてタンパク質のラベルを行った後、二次元電気泳動(2D DIGE)を行い、蛍光スキャナーにより画像を取り込んでスポットの定量解析を行った。発現の変動したスポットについて、トリプシンによるゲル内消化を行い、MALDI-TOF/MS及びMALDI-TOF/MS/MSを用いた質量分析により、タンパク質を同定した。(3) 結果 大動脈解離症において、アクチン、ミオシン、トロポミオシンなど、平滑筋の収縮に関与するタンパク質スポットが変動していた。また、低分子型のビメンチンが減少しており、大動脈解離症の動脈中膜においてビメンチンの翻訳後修飾が重要であることが示唆された。加齢によっても同様に、平滑筋収縮に関与するタンパク質スポットが変動するほか、extracellular SOD (EC-SOD)、glutathione S-transferase、peroxiredoxin 2などの酸化ストレス関連タンパク質も変動していた。2.意義と重要性 プロテオーム解析により大動脈解離症および動脈老化に関連して大動脈壁構成タンパク質が変動を検出することが出来た。本研究により、動脈老化の機序解明、大動脈解離症の病因解明、予防法開発に繋がると期待される。
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