研究課題
腫瘍幹細胞は治療抵抗性の一群の腫瘍細胞であり、再発や転移の原因となることが知られており、その制御は腫瘍の根絶に必須のものである。本研究では、さまざまな腫瘍における腫瘍幹細胞の動態を解析することを目的とした。ある種のリンパ腫では、Bリンパ球マーカーであるCD20と形質細胞マーカーであるCD138をともに発現することが知られている。このリンパ腫の細胞株で検討したところ、このリンパ腫を特徴づけるCD20、CD138のいずれも発現しない少数の腫瘍細胞で活性酸素除去能力が高く、抗癌剤に対する抵抗性も高いことがわかった。この細胞のみを単離して培養すると、他のCD20陽性細胞、CD138陽性細胞が出現し、逆にこの細胞以外の分画からはCD20陰性、CD138陰性の形質をもつ細胞は出現しなかった。以上のことより、リンパ腫においても腫瘍幹細胞的な性質をもつ一群の細胞群が存在することがわかった。さらに、子宮内膜癌のおける腫瘍幹細胞を制御する因子についても解析し、Nodalという因子が腫瘍幹細胞に対して抑制性に働くことを見出した。子宮内膜癌組織検体において、免疫組織化学的に検討したところ、腫瘍幹細胞を特徴づけるマーカーと、Nodalの発現が相反するパターンを示した。また、Nodalを添加して培養したところ、子宮内膜癌細胞株でみられる腫瘍幹細胞を特徴づけるマーカーの発現が減弱した。この減弱は、腫瘍幹細胞マーカー遺伝子の転写効率には関係せず、蛋白質分解が関与していることも明らかにした。
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