研究課題
平成25年度は、昨年得られたCpG-Aで、形質細胞様樹状細胞を刺激すると、Hsp72が放出されることにより、Hsp90-抗原ペプチド複合体免疫による細胞障害性T細胞の誘導効率が増強したことをふまえ、Hsp72存在下におけるHsp90-抗原ペプチド複合体の細胞内動態を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。Hsp90-抗原ペプチド複合体に比較して、Hsp72存在下にHsp90-抗原ペプチド複合体を形質細胞様樹状細胞にパルスすると、明らかに樹状細胞への結合が増強した。これは樹状細胞表面にHsp72特異的な受容体が存在することを示唆した。また、細胞内に取り込まれたHsp90, Hsp72は初期エンドソームに入るが、その後、Hsp72はリソソームに輸送された。一方、Hsp90は初期エンドソームに長時間貯留した。また抗原ペプチドは、初期エンドソームを経て、リサイクリングエンドソームに輸送された。このようにCpG-A刺激により分泌されたHsp72は、Hsp90-抗原ペプチド複合体の樹状細胞への取り込みを著しく亢進し、その結果クロスプレゼンテーションを促進させることが明らかとなった。一方、TLR4のリガンドであるLPSやTLR3のリガンドのpoly ICを樹状細胞にパルスしてもHsp72の分泌は認められなかった。以上の結果は、Hsp90-抗原ペプチド複合体を用いたがんペプチドワクチン療法においては、CpG-Aが最適なTLRリガンドであることが示すものである。
すべて 2013
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Pathology International
巻: 63 ページ: 391-397
10.1111/pin