研究課題/領域番号 |
23590428
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
奥寺 康司 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10326027)
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研究分担者 |
禹 哲漢 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (90537177)
片山 映 日本医科大学, 医学部, 助教 (10333113)
下山田 博明 杏林大学, 医学部, 助教 (60381472)
矢澤 卓也 杏林大学, 医学部, 准教授 (50251054)
永原 則之 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10208043)
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キーワード | 肺癌 |
研究概要 |
形態異常(異型性)はがん細胞に共通にみいだされる特徴である。本研究の目的は、その分子基盤の一端を明確にすることである。申請者はこれまでに、がん遺伝子KRASの導入によりヒト気道上皮細胞に著しい形態変化が誘導されることを示してきた。更に、遺伝子発現マイクロアレイを用いたKRAS下流分子の網羅的検索から、このような形態異常うち核クロマチンの不規則な凝集や細胞輪郭の歪化に関わる複数の責任分子を同定してきた。この成績は、KRAS導入細胞の発現解析が異型性の分子基盤を追求するうえで合理的な戦略であることを示している。申請課題では、遺伝子発現マイクロアレイでは同定できない、翻訳後において蛋白質レベルで発現・修飾制御を受ける分子群を、二次元電気泳動法を用いたプロテオーム解析によって網羅的に検索し、これらの異型性発現の責任分子としての可能性を追求することであった。変異型KRASがヒト気道上皮細胞の蛋白質発現状態(あるいは修飾状態)を著しくする分子種を、二次元電気泳動によって分離されたドット(スポット)の一次構造解解析から、S100蛋白、トロポミオシン、ビメンチン、細胞内イオンチャンネルCLIC4を同定した。当該年度はCLIC4の細胞形態に与える影響を解析した。結果、CLIC4は細胞形態に顕著な変化を与えることがなく、異型性発現の責任分子として積極的な傍証は得られなかった。一報、肺がん細胞の多くで発現低下があり、また過剰発現で、増殖を抑制したことから、肺発がんのプログレッションに関係する可能性が示唆された。今後は、他、候補分子の、細胞形態の関与をさらに検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該課題では、KRAS導入細胞において顕著に変化するドット(スポット)の一次構造解解析・蛋白質同定を進めた。特にCLIC4をを候補肺癌抑制遺伝子として抽出した。本来の目的は、異型性の分子基盤の追求である。CLIC4の細胞形態へ与える影響を今年度仔細に解析する。
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今後の研究の推進方策 |
CLIC4の細胞形態へ与える影響を今年度仔細に解析する。 他、トロポミオシンやビメンチンも形態異状に関与する候補分子として同定している。これらの関与も検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
CLIC4の細胞形態へ与える影響を今年度仔細に解析する。 他、トロポミオシンやビメンチンも形態異状に関与する候補分子として同定している。これらの関与も検討する。 平成24年度に1222023円繰り越したのは、CLIC4やトロポミオシンやビメンチンの発現ベクターの作成が難航し、また、ウエスタンブロットや免疫染色に適した抗体の選別に時間がかかり研究の進行がやや遅延したためである。この問題は打破したので、平成25年度で、一気に研究の完遂を目指すこととする。
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