研究概要 |
1.平成23年度に得られた成果の発表(長嶋,秋本):前立腺癌ではすでにaPKCλ/ιが高発現し,AP-1, NFκBからIL6を誘導し,アンドロゲン受容体が高発現することで,アンドロゲンが小量であってもこれを克服することを示した.実際に手術的に採取された前立腺組織では予後不良な症例で、aPKCλ/ιとIL6が正相関して高発現することを示し論文報告を行った(Ishiguro, Akimoto, Nagashima et al., Cancer Sci, 2012)。膵癌、メラノーマに関しては論文投稿、子宮頸癌と前癌病変、および悪性中皮腫については今年度、検討を進める予定である。2.aPKCλ/ιを分子標的とした乳癌,前立腺癌治療モデルの確立(秋本,長嶋,石黒,上村):すでに乳癌でaPKCλ/ιが高発現し,oncogenicに働いている可能性を報告している(Kojima, Akimoto, Nagashima et al.Hum Pathol, 2008).乳癌および前立腺癌でaPKCλ/ιを高発現している細胞株に対し,siRNA法やaPKC阻害薬(aurothiomalate)を用いて増殖抑制が得られるかを検討する.示標として,増殖曲線,軟寒天板上でのコロニー形成性,血清依存性,ヌードマウスでの造腫瘍性の変化などを見る.またIL6阻害薬(tocilizmab)の効果あるいは併用効果も検討し,aPKCλ/ι-IL6系の治療標的としての可能性を検証する.3.aPKCλ/ιとPAR3, PAR6との結合,共局在の検討(長嶋,秋本,石黒):平成23年度に計画していた本項目は、人体材料を用いた研究が先行して進捗したため、および研究目的にかなった抗体が入手できなかったため、本年度に実施することとした。
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