研究課題/領域番号 |
23590431
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
増田 友之 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10199698)
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研究分担者 |
柴崎 晶彦 岩手医科大学, 医学部, 助教 (20445109)
前沢 千早 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10326647)
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キーワード | 分子病理 / 肝細胞癌 / HGF / MET / EMT |
研究概要 |
HGF(hepatocyte growth factor)とそのレセプター系における肝細胞癌のEMT (epithelial mesencymal transtion)の作用を明らかにする目的で、肝細胞株を用いた細胞生物学的に解析を行った。HGF刺激下で、肝細胞癌のHDAC6発現抑制による効果を肝細胞癌培養細胞株4株を用いて検討した。HDAC6を発現抑制して、METの発現状態をwestern blot、real-time PCR、共焦点レーザー顕微鏡で評価した。HDAC6発現抑制により、METは膜表面で点状に凝集した。METの細胞内チロシンキナーゼリン酸化部位のリン酸化状態が亢進し、下流のMAPKの活性化が生じていた。細胞の浸潤・運動能はいずれの細胞でも低下したが、細胞の増殖能は予想に反して低下してた。HDAC6の発現抑制により、何らかのMAPKの不活化機構が働いている可能性が示唆された。そこで、共焦点レーザー顕微鏡による観察を行ったところ、リン酸化ERK1/2の核移行が阻害されている可能性が示唆された。核、細胞質フラクションに分離した蛋白質のwestern blotでも同様の結果が得られ。リン酸化ERK1/2の核移行が阻害されていた。この現象はERK1/2の核内移行にかかる微小管がHDAC6の発現抑制によりstabilizationした事が影響していると考えられた。HGFの肝細胞癌のEMTならびに細胞増殖には、HDAC6の過剰発現が関与している事が推定され、来年度以降HDAC6の標的分子となっている、cortactinについても解析を進める事にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の評価は、概ね堅調に進捗しておりHDAC6は予想されたEMT以外にも、肝細胞癌の増殖にも影響を与える事が明らかとなった。本研究成果は肝細胞癌治療上HDAC6が新たな標的分子になる可能性が示唆され意義のある知見と考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、HDAC6がHGF/EMTのEMTあるいは増殖抑制にかかるキー分子となっている可能性が示唆されたので,関連分子のcortactinにかかる研究を推進する。さらにヒト悪性腫瘍でのバイオマーカーとしての意義を検証する目的で免疫染色を試行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記検討を行うため、培養液、抗体、western blot試薬等の購入する。また、成果発表のために論文校正料、別冊代を計上した。
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