研究課題/領域番号 |
23590435
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
脇屋 緑 順天堂大学, 医学部, 助教 (00220848)
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研究分担者 |
梶野 一徳 順天堂大学, 医学部, 助教 (80260066)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Mesothelin / 中皮腫 / 悪性腫瘍 / 発癌 / 分子病理 |
研究概要 |
Mesothelinの発現制御に関して、我々は既に、1. 中皮腫では同遺伝子プロモーターが低メチル化状態にあること。2. 上皮型と肉腫型中皮腫両者において、プロモーター領域が低メチル化状態にあるにもかかわらず上皮型では同遺伝子の発現が高く肉腫型では発現が低いことを報告している(Human Pathology 41; 1330-8, 2010)。これらの結果から、次の疑問が浮かび上がった。肉腫型中皮腫においては、Mesothelinプロモーターが低メチル化であるにもかかわらず、なぜその発現レベルが低いのか?Cristaudoらは、同遺伝子の3’非翻訳領域に一塩基多型(SNP)があり、SNPとMesothelin発現量に相関があること、またSNPは、あるmi-RNAの結合配列に含まれること、を報告した(Occup Environ Med 267; 233-6,2010)。我々は、この論文に基づき、肉腫型中皮腫で同遺伝子の発現レベルが低い理由として、同mi-RNAの発現量あるいはmi-RNA結合配列内のSNPの関与を考えた。まず、中皮腫を肉腫型と上皮型の2群に分けてSNPの頻度を調べたが、2群間に有意差を認めなかった。次に、2群間における同mi-RNA発現量を調べた。その結果、肉腫型では上皮型よりも有意に同mi-RNA発現量が高いことを確認した(論文投稿準備中)。この結果は、中皮腫発生過程における組織分化にmi-RNAが関与していること、および、悪性度の高い肉腫型中皮腫の治療にanti-mi-RNAが使用できる可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Mesothelinの発現制御にmi-RNAが関与していることを支持するデータを得ている。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞を用いた実験系で、上述のmi-RNAが本当にMesothlin遺伝子の発現に影響を与えていることを確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
まず、種々の培養細胞を対象として、Mesothelin遺伝子発現量とmi-RNA発現量を調べ、それらの間の関連の有無を明らかにする。対象とした細胞の中から、mi-RNA発現量が低くMesothelin発現量が高い細胞を選び、その細胞にmi-RNAを導入してMesothelin発現量が変化するかどうかを確認する。また、逆に、Mesothelinがmi-RNA発現量に影響を与えるかどうかも調べる。
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