研究課題
本研究の目的は、ヒトマスト細胞の発現するKIR2DL4の役割を解析し、この細胞の関与する免疫反応・アレルギー疾患に対するKIR2DL4を介した制御の可能性の検討であった。そして、平成25年度は特に、ヒトマスト細胞におけるKIR2DL4刺激時のシグナル系の変化の解析を行う予定であった。平成23年度・平成24年度の研究で、我々は解析したヒト非腫瘍性マスト細胞のすべておよび一部の腫瘍性マスト細胞の一部がKIR2DL4をが発現していること、抗KIR2DL4刺激抗体がヒトマスト細胞の機能、特にSCFやIgE刺激による反応を有意に抑制することを見出した。この後者のKIR2DL4の抑制効果を説明しうるシグナルの変化を平成25年度に解析したところ、NK細胞で報告されていたのと同様にヒトマスト細胞でもKIR2DL4が脱リン酸化酵素SHP-2を活性化されること・マスト細胞の機能に重要なシグナルを伝えるERKの活性化が抑制されることを見出した。さらにこのSHP-2の特異的阻害剤PHPS-1を至適濃度で添加したところ、ERKの活性化が回復しKIR2DL4の抑制効果がキャンセルされるのを見出した。これはKIR2DL4刺激はSHP-2の活性化とそれに続くERK活性化の抑制を示すものと考えられた。現在、さらに研究を進め、KIR2DL4を刺激しうるHLA-Gを発現した細胞株とヒトマスト細胞を共培養し、ヒトマスト細胞上のKIR2DL4の生物学的意義を検討している。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件)
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