研究課題/領域番号 |
23590440
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
相田 順子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (80425678)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / カナダ |
研究概要 |
生活習慣病の1つである2型糖尿病では、β細胞がアポトーシスにより減少し、膵島機能を低下させている。テロメアは加齢と共に短縮し、癌や種々の老化に関連する疾患と深く関係していることから、β細胞の減少には、選択的にβ細胞のテロメア短縮が過度に起きていると予想した。これを証明するために、平成23年度は検体の入手・収集、それに引き続き組織の検定を行ない、症例を選択した。組織FISH法によるテロメア長測定のコントロールとなるセルブロックの作製も併せて行なった。順次組織FISH法を施行し、膵組織の各構成細胞群別のテロメア測定を行なった。Q-FISH法に免疫蛍光法を重ねて行なうことによる膵α細胞、β細胞のテロメア長測定は、膵組織の各構成細胞群別のテロメア長測定終了症例から順次行なうこととした。当該年度終了時点で、症例の収集および組織学的検定は目標50例のうち対照群約40例、糖尿病症例群で約30例終了した。膵組織の各構成細胞群別のテロメアは、対照群と糖尿病症例群ともに約20例ずつの解析を終了し、糖尿病症例群におけるテロメアの短縮傾向が見られたが、統計学的有意差は認められなかった。一方、膵α細胞、β細胞のテロメア長測定については、Q-FISH法に二重の免疫蛍光法を行ないα細胞とβ細胞のテロメアを10例ずつ検討した時点で評価を行なったところ、免疫蛍光法を行なわなかった場合の結果と症例間の相対的関係が一致せず、α細胞とβ細胞の免疫蛍光法を個別に行なって解析することとした。当該年度終了時点で、β細胞のテロメア解析を対照群約15例、糖尿病症例群約10例の解析を終了し、糖尿病症例群では対照群に比較してβ細胞のテロメアに短縮傾向が認められている。解析ソフトTissue Teloをパソコンの最新OSへの切換えに伴い対応できるようアップデートを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画3年のうち1年を終了した時点で、テロメア長解析のために必要な目標症例の2/3は症例収集が終わり、1/3以上の症例において膵組織の各構成細胞群別テロメア長解析が終了していること。また、膵α細胞、β細胞のテロメア長については、当初の計画では二重の免疫蛍光法を重ねた標本で解析を行なう予定であったが、途中経過でデータの評価を行ない、膵α細胞とβ細胞の2つの免疫蛍光法を個別に標本を作製、解析を行なわなくてはならないという計画変更を余儀なくされた。しかし、それでも順調に症例の解析を継続できていることから、研究計画の3年以内には目標症例数の解析を行なうことは十分に可能と考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き対照群および糖尿病症例群の症例の収集を目標数に達するまで行なう。標本の組織学的検定は順次行なう。組織学的検討により選択した症例について膵組織の各構成細胞別の解析を継続して行なう。免疫蛍光法を用いた実験についても、現在計測中のβ細胞を継続して解析し、これに引き続き順次α細胞についても解析を行なう予定である。また、膵組織の各構成細胞別の解析は次年度に大半が終了すると考えられることから、順次学会発表および英文論文の作成に入る予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
標本の作製、すなわちスライドグラスおよびFISH法および免疫蛍光法を行なうための試薬の購入を行なう。FISH標本の解析に用いる蛍光顕微鏡の水銀ランプについては、定量的検討に用いるため光量を可及的に一定に保つ必要性がある。そのためランプ交換を定期的に行ない、フィルター交換も適宜必要になる。また、FISH標本の解析作業は労働集約性が高いため適宜アルバイトを雇用する必要が生じる。さらに、解析結果の学会発表および論文発表を順次行なう予定であるため、旅費および英文校正費用を加算した。
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