研究課題
シトルリン化酵素PADの2型及び4型の組み換え蛋白の作製を実施した。各々のcDNAとはpDEST17ベクターを用いて大腸菌内に組み換え蛋白を発現させた。発現した蛋白を精製し、酵素活性の評価を行った。評価には同じく大腸菌に発現させたヒト・グリア線維性酸性蛋白質(GFAP)を用いた。精製PADとカルシウムイオンの共存下でシトルリン化を試みた。電気泳動により移動度の差が認められたのでシトルリン化がされていると判定した。この結果は組み換えPADが酵素活性を有することを示している。組み換えPAD分子をBALB/cマウスに免疫し、モノクローナル抗体を樹立した。その特異性の評価は各PADサブタイプの組み換え蛋白を抗原としたWestern Blottingにより実施した。樹立された複数のモノクローナル抗体のうちサブタイプ特異性を示すモノクローナル抗体を選択した。樹立したPAD4サブタイプに対するモノクローナル抗体を用いてPAD4濃度を測定するサンドイッチELISA法を確立した。今年度は通常のELISA法の確立に留まったが、末梢血中のPAD4の量を測定するには充分な感度を示した。同時にPAD4に対する自己抗体の検出システムも確立した。従来からPAD4に対する自己抗体の存在は知られていたが検出系の感度が不十分であったので診療に応用するには不向きであった。今回、我々は高感度の検出系を開発して、予備的にリウマチ患者血清を用いて評価を行った。その結果、リウマチ患者血清においてはPAD4に対する自己抗体が高率に出現することを確認した。今後の利用が期待される成果である。
2: おおむね順調に進展している
今年度の研究の目的の主眼はPADにかかわる測定系の開発であり、基本的に達成した。また確立した測定系が患者血清を用いての評価に耐えるものであったことから、当該年度の目的を達成したと考えている。より高感度の測定系には発展させなかったので今後、そのようなシステムが必要となれば次年度以降に検討したい。
今年度は確立した測定系を用いて広範な疾患について応用する、悪性腫瘍を中心に可能な限り網羅的に解析し、細胞内でのPADの病態生理学的意義を解析するための基礎資料としたい。
研究を推進するために必要な機器・解析技術は整備されており、網羅的な疾患解析に必要な試薬・消耗品に充当する。
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