研究課題/領域番号 |
23590444
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
石井 陽子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (00361949)
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研究分担者 |
笹原 正清 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (20154015)
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キーワード | 血小板由来増殖因子 / 神経細胞 / synaptogenesis / 細胞死 |
研究概要 |
研究計画 1)Synaptogenesisに対する検討、2)神経細胞死に対する検討 のうち、本年度は 2)につき検討した。 a) 血小板由来増殖因子B鎖(PDGF-B)は、神経細胞の酸化ストレス誘導性細胞死を減少させ、主としてAktがそのシグナルに関与することを以前報告した。今回、同様に初代培養神経細胞に過酸化水素を用いて酸化ストレスを与え、細胞内カルシウムイオン濃度を定量した。PDGF-Bの前投与により、神経細胞内カルシウムイオン濃度は有意に減少した。また、神経細胞死の経路においてカルパインが重要な役割を果たすことが知られているが、PDGF-Bを前投与するとカルパイン1の発現が有意に低下した。PDGF-Bの神経保護作用にカルシウムの経路およびカルパインの経路が関与することが示唆された。 b) アストロサイトの神経細胞保護機能におけるPDGFの役割を検討するため、PDGF-beta受容体(PDGFR-b) conditional knockoutを誘導したアストロサイトおよびコントロールアストロサイトに過酸化水素を加え、培養液中の過酸化水素分解能につき、比較検討した。PDGFR-b knockoutアストロサイトは培養液中の過酸化水素濃度が高い状態で維持され、過酸化水素の分解能が低下していることが示された。アストロサイトには複数の抗酸化酵素があるが、このうち還元型グルタチオン濃度を定量したところ、PDGFR-b knockoutアストロサイトは有意に低下していた。PDGFR-bはアストロサイトのグルタチオン濃度に関与し、過酸化水素の分解を促進し、酸化ストレスから神経細胞を保護することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は1)Synaptogenesisに対する検討 につき、当初の計画の2年分を行った。昨年度は2)神経細胞死に対する検討 が遅延していたが、今年度に2年分の計画を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づき、以下の実験を推進する予定である。 1)Synaptogenesisに対する検討:PDGFR-α conditional knockout mouse、PDGFR-α/b double conditional knockout mouse、control mouseより採取した神経細胞を用いてPDGFR-b conditional knockout mouseと同様な検討を行い、遺伝子削除が軸索伸長やSynaptogenesisに与える影響を、形態学的に解析し、比較検討する。 2)神経細胞死に対する検討:PDGFR-α conditional knockout mouse、PDGFR-α/b double conditional knockout mouse、control mouseより採取した神経細胞を用い、PDGFR-b conditional knockout mouseと同様な検討を行い、酸化ストレス性細胞死を誘導し、比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は概ね順調に進んだが、繰り越金 19140円が生じた。次年度で使用する。 当初の研究計画調書のとおり、主として細胞培養試薬等の消耗品に使用する。
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