研究課題/領域番号 |
23590445
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
河崎 秀陽 浜松医科大学, 医学部, 助教 (90397381)
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研究分担者 |
小杉 伊三夫 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (10252173)
新井 義文 浜松医科大学, 医学部, 助教 (30381784)
岩下 寿秀 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00283432)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | サイトメガロウイルス / レセプター / ES細胞 / 大脳 |
研究概要 |
日本では毎年約1000人の難聴や神経障害をもった症候性サイトメガロウイルス(CMV)患者が発生している。ダウン症につぐ大きな先天異常であり毎年膨大の医療費を必要とする。いまだに実用ワクチンはなく、CMV先天異常の新たな感染機序を解明することは将来の先天CMV感染の予防・治療、ワクチン開発にとって必要不可欠である。本研究はES細胞/iPS細胞がCMV感染に対して高度の抵抗性を示すという実験結果を基礎に、新たなCMV感染感受性因子を探索することを目的とする。そしてヒト先天CMV感染の予防と治療、ヒトES/iPSを用いた再生治療におけるCMV感染の予防へとつなげていくことが目的であった。 今回はマウスES/iPS、マウス線維芽細胞の感染感受性の差がウイルス侵入機序に依存していることを蛍光変異MCMVウイルスで再確認する。そしてウイルス粒子の細胞接着や侵入に関わる未知のreceptor因子を探索する予定である。膜蛋白の分画をそれぞれのES,iPS, MEFの細胞から採取し、VOBPA法(Virus overlay protein blotting assays)法、質量分析法によりウイルスレセプターを同定する。その後既知、未知の因子がES/iPS細胞、胎児の成長過程でどのような分布し、CMVゲノムの局在と一致しているか否かをflow cytometry, 免疫染色、in situ hybridizationで確認していく予定である。また新規に同定された因子をヒトES/iPS細胞、ヒト線維芽細胞を用いてHCMVでも追試していく計画であった。 当該年度は蛍光で光るMCMV粒子の作製を中心に行い、大臣申請とともに現在実験をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究はES細胞/iPS細胞がCMV感染に対して高度の抵抗性を示すという実験結果を基礎に、新たなCMV感染感受性因子を探索することを目的とする。そしてヒト先天CMV感染の予防と治療、ヒトES/iPSを用いた再生治療におけるCMV感染の予防へとつなげていくことが目的であった。平成23年度は1: 蛍光ウイルス作成とウイルス細胞内へのentryの観察, 2: ES, iPS, MEF細胞より細胞膜分画分離, 3: VOBPA法によるMCMVと結合する細胞レセプターの同定, 4. MCMVセファロースビーズの作製と蛋白解析, 5: mass spectrometryでの解析などを計画していた。当該年度は蛍光で光るMCMV粒子の作製を中心に行い、大臣申請とともに現在実験をすすめている。 receptor関係で当該年度は当初の計画にない大脳のintegrin β1の発現とMCMVの関係を調べることにした。CMV大脳急性感染において如何なる因子が感染感受性を規定するか未だ不明な部分が多く、今回はウイルス粒子の動態とreceptorの両方の因子から調べることにした。Murine cytomegalovirus(MCMV)で報告されている主なreceptorはintegrin β1で、大脳におけるintegrinβ1(CD29)の発現と大脳CMV超急性期感染の関係を解析した。その結果MCMVの頭蓋内直接投与と静脈内投与では初期の感染部位と脳内での感染の広がり方は異なっていた。そしてMCMVの大脳急性感染においてはマイクロビーズの動態とウイルス感染分布はほぼ一致することがわかった。またCD29をknockdownNIH3T3細胞に対して行うとMCMV感染感受性は低下した。そして超急性期の大脳MCMV感染において、CD29の発現部位とMCMV感染部位と相関があることが示唆できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はES細胞/iPS細胞がCMV感染に対して高度の抵抗性を示すという実験結果を基礎に、新たなCMV感染感受性因子を探索することを目的とする。そしてヒト先天CMV感染の予防と治療、ヒトES/iPSを用いた再生治療におけるCMV感染の予防へとつなげていくことが目的である。 平成23年度は蛍光ウイルス作成とウイルス細胞内へのentryの観察、ES, iPS, MEF細胞より細胞膜分画分離、VOBPA法によるMCMVと結合する細胞レセプターの同定、MCMVセファロースビーズの作製と蛋白解析を予定してたが、やや遅れており蛍光ウイルス作成を大臣申請とともにすすめている状態である。また当初の計画になかったMurine cytomegalovirus(MCMV)で報告されている主なreceptorはintegrin β1で、大脳におけるintegrinβ1(CD29)の発現と大脳CMV超急性期感染の関係を解析した。MCMVの頭蓋内直接投与と静脈内投与では初期の感染部位と脳内での感染の広がり方は異なっていた。そしてMCMVの大脳急性感染においてはマイクロビーズの動態とウイルス感染分布はほぼ一致することがわかった。またCD29をknockdownやCD29抗体でのfunctional blockingをNIH3T3細胞に対して行うとMCMV感染感受性は低下した。そして超急性期の大脳MCMV感染において、CD29の発現部位とMCMV感染部位と相関があることが示唆できた。今後は当初計画していた実験計画と大脳のMCMV感染感受性を有機的に融合させて実験を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に計画し,達成できなかった実験を遂行するためにさらに必要な物品を購入し、実験を進めていく予定である。平成24年度はVOBPA法によるMCMVと結合する細胞レセプターの同定、MCMVセファロースビーズの作製と蛋白解析を予定しており、MCMVウイルスが認識する膜蛋白の分子量の同定を行う。NHS-activated Sepharose 4 Fast Flow、塩酸、リン酸カリウム液、Tris/HClを準備・購入する。具体的にはES, iPS, MEFの細胞膜分画蛋白質溶液をConcanavalin A sepharoseカラムにいれる。その後にMCMVセファロースビーズをいれ、室温10分反応させる。MCMV セファロースビーズをよく洗浄し、MCMVセファローズビーズにSDS bufferにいれる。95度10分煮沸。SDS-PAGEで泳動後にES, iPS細胞になくてMEFにあるバンドをシンプルブルー染色で同定する。上記の蛋白をMass spectrometryによってCMVのレセプター蛋白候補の解析を行う。これらの解析のために必要な消耗品を購入予定である。また本研究では未分化細胞培養に必要な培養液、栄養因子(LIFなど)は必要不可欠である。またプラスミド、大腸菌、核酸精製キットなど基本的な分子生物学的手法を駆使するために試薬類は必要となる。また大脳のintegrin β1蛋白発現とMCMVの感染感受性の解析をすすめるため、マウスの購入、蛍光マイクロビーズ、超遠心に必要な消耗品が必要となる。In vivoでのin situ hybridizationや免疫染色のため、probe作製kitや各種抗体を購入し、in situ hybridizaiotnのために各種試薬を購入する必要がある。
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