研究課題
A.当初の研究計画本研究はES/iPS細胞がCMV感染に対して高度の抵抗性を示すという実験結果を基礎に、新たなCMV感染感受性因子を探索することを目的とした。そしてヒト先天CMV感染の予防と治療、ヒトES/iPSを用いた再生治療におけるCMV感染の予防へとつなげていくこと計画であった。当初の予定で新規のレセプター因子が同定されなかった場合は、胎生期の発達段階で、ウイルスゲノムが入りやすい細胞が如何なる細胞であるのかを既知の因子の分布をin vivoで解析していく予定であった。B. 研究経過および研究成果ヒトiPS細胞の樹立に成功し、ヒトiPS細胞ではHCMVに対する感染感受性は著明に低下した。これは申請者がPlos One(2011)で発表したマウスES/iPS細胞でのCMV感染実験結果と同様であった。未だ新規レセプターへの発見には至っていないが、現在は既知のレセプターであるintegrinβ1を中心にマウス大脳におけるMCMV急性感染期感受性の機序を調べている。MCMVの髄腔内/静脈内投与による超急性期感染大脳では、MCMV粒子・蛍光microbeads(ウイルス粒子とほぼ同径のbeads)とMCMV感染分布は大まかには一致したが、microbeads粒子の分布と感染細胞の分布には有意な差がみられた。これはウイルス感染感受性を規定する因子はウイルス粒子の大きさ以外に存在することを示している。急性期血行感染におけるCMV感染細胞は血管内皮細胞、血管周皮細胞、髄膜細胞であった。髄腔内感染においてMCMV感染部位は主に髄膜、脈絡叢であった。 急性期MCMV血行性/髄腔内感染どちらにおいてもintegrinβ1高発現細胞にMCMV感染感受性があった。 さらに大脳スライスにおいてもintegrinβ1発現部位とMCMV 感染部位はほぼ一致した。 超急性期のCMV大脳感染分布を規定する因子はintegrinβ1の分布に強く関連していることがわかった。この結果は現在論文作成中で近々投稿予定である。
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Inflammatory Bowel Disease
巻: 19 ページ: 1951-1956
Fibrogenesis Tissue Repair
巻: 6 ページ: 15
10.1186/1755-1536-6-15