研究課題/領域番号 |
23590446
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 誠司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90467506)
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研究分担者 |
松浦 成昭 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190402)
河口 直正 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70224748)
濱田 吉之輔 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (10362683)
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キーワード | インテグリン / FGF / FGF受容体 / 血管新生 |
研究概要 |
これまでFGF1とインテグリンの直接の結合が細胞の増殖や運動に必要であることを明らかにしてきた。インテグリンに結合できないFGF1変異体(FGF1-R50E)を用いインテグリンとFGF受容体の関係、FGF1-R50Eの抗腫瘍性および血管新生阻害について解析を進めた。 ・インテグリン/増殖因子受容体のクロストーク:血管内皮細胞(HUVEC)を用い、野生型FGF1とFGF1-R50Eが血管新生に与える影響を解析した。インビトロにおいてFGF1-R50Eは血管新生を促すことはなかった。またFGF1-R50Eによるドミナントネガティブな効果を観察することができた。これらの結果からインテグリンとFGFの結合が血管新生に必要であること、またFGF1-R50Eが野生型に対して競合的に作用することが示唆された。 ・FGF1-R50E の抗腫瘍性、血管新生阻害効果の解析:大腸癌細胞株(DLD-1)に恒常的に野生型FGF1あるいはFGF1-R50Eを発現させ、これをヌードマウスに接種し継時的に観察した。FGF1-R50Eの群で優位に腫瘍増殖能は減少していた。野生型FGF1あるいはFGF1-R50Eを含有した細胞外基質成分(Matrigel)をマウス背部に接種し、Matrigelへの血管新生数を測定した。野生型に比較してFGF1-R50Eの群において新生血管数は優位に少なかった。Ex vivoの系であるラット動脈輪を用いた血管新生では同様にFGF1-R50Eは新生血管の形成を促進せず、また野生型FGF1の効果を阻害した。これよりインテグリンとFGF1の結合が血管新生に重要であることと、FGF1-R50Eがドミナントネガティブに作用することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インテグリンとFGF1の相互作用が内皮細胞の血管新生能に重要な役割を果たすことを、種々の解析方法から明らかにできた。In vitroとIn vivo 両者ともに順調に成果を出すことができ、ここまでの結果をPLoS One. 2013;8(2)に報告することができた。FGF受容体とインテグリンのシグナリングに関する解析がやや遅れているものの全体としてはおおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
FGF受容体(FGFR)とインテグリンの間にあるクロストークの解析に関して、分子レベルでのメカニズム解析に遅れがみられる。FGF-FGFR-インテグリンこれら3者の複合体形成がシグナルの活性持続に重要であるということが分かりつつあるものの、まだ十分なデータは蓄積されていない。可能な限り人的・時間的配分をしていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね計画通りに研究費は使用した。クロストークの分子メカニズムに関する解析において遅れたことで発生した研究費が次年度に持ち越される。インテグリンおよびFGF受容体の遺伝子発現を抑制するための合成RNAの購入に持ち越した研究費は使用する予定。
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