研究課題/領域番号 |
23590448
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
坂下 直実 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90284752)
|
研究分担者 |
竹屋 元裕 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (90155052)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | マクロファージ / ACAT1 / 後期エンドゾーム / C型Niemann-Pick病 / コレステロール / コレステロールエステル |
研究概要 |
C型Niemann-Pick病は細胞内遊離コレステロール転送蛋白の欠損により、大量の遊離コレステロールとスフィンゴミエリンが後期エンドゾームに蓄積する先天性ライソゾーム病である。われわれはコレステロール負荷を受けたマクロファージには遊離コレステロールをエステル化する小胞体酵素ACAT1陽性の後期エンドゾーム(ACAT1陽性後期エンドゾーム)が形成されることを発見し、この特異なオルガネラ誘導によるC型Niemann-Pick病治療戦略に取り組んでいる。 C型Niemann-Pick病マウス(NPCマウス)ならびに野性型マウスの骨髄細胞由来マクロファージ(Mφ)にACAT1陽性後期エンドゾームが誘導できるかどうかを検定した。野性型マウスMφをサイクロデキストリン-コレステロール複合体(CD-Chol)あるいはアセチル化低比重リポ蛋白(AcLDL)で処理して泡沫化させると細胞内遊離コレステロールとエステル化型コレステロールの両者が増加した。NPCマウスMφをAcLDL処理しても細胞内遊離コレステロールならびにエステル化型コレステロールの上昇は目立たなかったが、CD-chol処理NPCMφでは遊離ならびにエステル化型コレステロールの著明な上昇が認められた。 次にAcLDL、CD-chol処理を行った野性型MφとNPCMφに蛍光ビーズを貪食させ、ホモジェナイズしたMφを密度勾配超遠心にて処理し、貪食されたビーズを含むファゴゾーム分画を分離した。分離したファゴゾーム分画をウエスタンブロットにて解析したところ、未処理の野性型、NPCMφでは単離ファゴゾーム分画にACAT1は同定できなかったが、CD-cholを用いて遊離コレステロール負荷を行ったMφでは野性型、NPC両者において単離ファゴゾーム分画にACAT1が同定できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題が採択された平成23年4月に熊本大学から徳島大学に赴任したため、研究環境が大きく変化して当初の予定よりも研究の進展は遅れている。また、講義、実習、病理診断や病理解剖といった日常業務に追われて研究に従事する時間的余裕がなかったことも一因である。平成24年度には講義、実習準備も一段落ついているため、研究環境の整備にむけて準備を進める予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
先に述べた研究進展状況の遅延は主に研究環境の不備と人的資源の欠乏にある。現研究室には組織染色用の器具や試薬は揃っているが、生化学実験を行うための設備や装置が完備されておらず、研究環境の改善を図るべく実験器具や試薬、実験室のレイアウト変更などを手がけている。人的資源の確保については相当の時間を要することが見込まれるため、先ずは研究室の設備を充実させることによって研究の遅れを取り戻す予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度直接経費の繰り越しが878,495円となっている。(1)当該研究費が生じた理由 研究環境の変化と徳島大学赴任に伴う学生講義、実習、病理診断、病理解剖などのduty workの増加のため研究に従事する時間的余裕がなかったことが要因である。(2)翌年度以降に請求する研究費とあわせたしよう計画 先ずは研究室環境整備のため、ビーカーやフラスコ、遠心器、サーマルサイクラー、抗体、各種試薬などを購入する必要がある。当初の研究計画には物品費は計上していなかったが、上述の理由のため平成23年度繰越金と平成24年度に請求する研究費を用いて研究に必要な物品ならびに消耗品を購入する。
|