研究課題
1)S100A4の高発現が神経浸潤と有意に相関を示すことを膵癌切除標本を用いて検討を加えて明らかにした。さらに、S100A4遺伝子の低発現膵癌細胞株にS100A4を強制発現させると浸潤能に密接に関わる運動能が亢進することを明らかにした。遺伝子強制発現により発現変化を示す遺伝子をマイクロアレイ解析でピックアップし、さらに機能的にも解析を加え、浸潤能にかかわる遺伝子を絞り込んだ。これらの遺伝子については、ノックダウン実験や遺伝子強制発現実験を進めている。2)肺癌において、高頻度にS100A4の発現が亢進していることを明らかにし、ノックダウンにより増殖抑制が見られ、強制発現により細胞の運動能が亢進することを明らかにした。また、ノックダウンにより発現動態が変化する遺伝子を膵癌で特定していたが、肺癌においても検討を加えたところ、膵癌とよく似た発現動態が見られた。これらの結果から、S100A4は肺癌と膵癌で機能的にきわめて似た機序で発癌に働いていると考えられた。3)Gemcitabine(以下GEMと略記)は癌治療における重要な抗がん剤で、膵癌ではS100A4の高発現によりGEM治療による予後が低下することが報告されていたが、その分子機構は不明である。膵癌、胃癌、大腸癌、胆嚢癌、胆管癌の合計8細胞株においてGEM耐性株を樹立し、耐性の分子機構を調べた結果、細胞内でGEMを活性型に変換させる重要な酵素であるDeoxycytidine kinase(DCK)の不活性化が極めて高頻度に見られること見出した。他方、これ以外のメカニズムもあるようであり、現在、さらに検討を加えている。S100A4の高発現とGEM治療による予後不良については未解明である、さらに検討を加えている。
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