研究課題/領域番号 |
23590453
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高橋 昭光 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70344893)
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研究分担者 |
島野 仁 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20251241)
鈴木 浩明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40344890)
矢藤 繁 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50451703)
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キーワード | 肥満 / メタボリックシンドローム / リポ蛋白代謝 / 動物モデル / 転写因子 |
研究概要 |
動脈硬化性疾患は,脳血管疾患・心血管障害を合計すると現在本邦の死因1位である悪性新生物に比肩するほどの重大な死因となっている.我々は科研費研究でLDL受容体欠損マウスにおいて脂質合成転写因子であるSREBP-1を強発現させると動脈硬化がより強く進展することを示してきたが,逆にSREBP-1を抑制した場合に動脈硬化を抑制しうるかについては未解明であるため検討を行うこととした. SREBP-1遺伝子欠損かつLDL受容体遺伝子欠損の二重欠損マウスをそれぞれの遺伝子単独欠損マウスからの交配により得て解析を行った.その結果,LDL受容体欠損時,SREBP-1を欠損させることで1:高脂肪食負荷での血清コレステロールの低下,血清TGの著明な低下をみとめ,2:リポタンパクプロファイルでは主にVLDLの減少を認め,3:通常食飼育では動脈硬化巣面積の有意な減少をみとめ,4:電子顕微鏡によるVLDL粒子の粒子径の縮小が認められた. 以上の所見より,従来LDL受容体欠損という血中からのリポタンパククリアランスが障害されたモデルにおける動脈硬化発生は知られていたが,脂質合成系が変動することによって血清脂質のプロファイルが変動し,動脈硬化進展に影響を及ぼすことが新たに明らかになった.リポタンパク粒子径が変化していることは,Small,dense LDLが動脈硬化惹起性が強いことと関連が示唆され興味深い知見ではあるが,SREBP-1がどのようなメカニズムでVLDL粒子径を規定しているのかについては本研究では明らかにはなっておらず,今後の検討が必要と考えられた.
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