研究課題/領域番号 |
23590456
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
桜井 敬之 信州大学, 医学系研究科, 准教授 (80317825)
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キーワード | アドレノメデュリン / 受容体修飾因子 / 血管作動性ペプチド / 発生工学 / 疾患モデル動物 / RAMP |
研究概要 |
(1) 臓器機能の恒常性維持に寄与するRamp2の重要性をkoyama et al., Circulation. 2013,127(7):842-53, およびYoshizawa et al., Hypertension. 2013,61(2):341-51として発表した。 (2)Ramp3の解析としては、盲腸穿刺腹膜炎(CLP)、 LPS敗血症、酸化鉄誘発血栓、 DSS誘発大腸炎による病態解析を展開した。特にCLP解析において野生群に比べ生存率が20%程低くなる現象は、腹腔内細胞群(好中球、マスト細胞、マクロファージ)の機能異常(動員能および殺菌能)により、その結果、野生型に対してAST、ALS、Cr値の増加、血小板数減少、血清エンドトキシン値の増加、腹腔液内のエンドトキシンの高値、肺組織像で炎症増加(検討継続中)による臓器機能の不全、ショックへの移行が要因と思われた。そこで腹腔内細胞群の機能異常を特定するためマスト細胞、腹腔動員Mφ,好中球を用いて、サイトカイン生産能、貪食能および走化性、殺菌性を検討した(継続中)。 (3) 昨年度作製したRAMPの挙動変化を追跡するためのベクターの改良(プロモーター、マーカー局在能、エピゾーマルベクター)を行った。現在、細胞株に導入して機能を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ramp2の解析については、koyama et al., Circulation. 2013 Feb 19;127(7):842-53, Yoshizawa et al., Hypertension. 2013 Feb;61(2):341-51に発表した。Ramp3としてはR2,R3, R3Tgマウスを用いて全容観察として盲腸穿刺腹膜炎(CLP)モデル、 LPS敗血症モデル、 酸化鉄誘発血栓モデル、 DSS誘発大腸炎モデル、さらに加えてシュワルツマンおよびLPS急性肺炎モデルの病態解析をさらに展開した。これらの結果から、炎症等に関わる免疫機構、特に自然免疫はAm-Ramp2系ではなくAM-Ramp3系が関わっていることがCLPモデルに加え、これら各種のモデルでも示された。Ramp2およびRamp3の機能は個体においては役割分担されている証拠が揃い、確実となってきた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたり残された解析を遂行する。そして今まで得てきた知見の総まとめを行う。 (A)(個体レベル)急性期・慢性期炎症病態の全容観察のまとめ H24のモデルマウス解析の継続と各種の炎症関連病態モデル:(1)盲腸穿刺腹膜炎モデル (2)LPS敗血症モデル (3)シュワルツマン現象反応 (4)酸化鉄誘発血栓モデル(5)LPS誘発急性肺炎モデル (6)DSS誘発大腸炎モデル(7)高脂肪食摂取誘発肥満モデル (8)関節炎モデルから得られた知見;病理学的及び生理機能的解析を、心血管機能、中枢神経、呼吸、消化管、代謝、RAMP遺伝子欠損と過剰発現の相関について総まとめを実施する。 B)(分子・細胞レベル) R2・R3の応答の制御の解析 まとめ H24までに得られた病理解析に基づく病態を、遺伝子改変マウス由来の肺胞および腹腔Mφ、血管内皮細胞(血管硬化、血管炎症モデル)、各臓器、および胎児から初代細胞培養系によるAM、LPS等炎症誘起剤およびNFkB、MAPK等阻害剤、サイトカインに対するR2/R3の応答を形態、遺伝子発現、タンパク質変動にて検討する。そしてこれら知見から分子メカニズムモデルを提示する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記した今後の推進方策に則り無駄なく適正に研究費を使用する。 各種病態マウスモデル(盲腸穿刺腹膜炎、 LPS敗血症、LPS急性肺炎、DSS誘発大腸炎)による全容観察、病態解析を実施する遺伝子改変マウスの繁殖に使用するマウス購入・飼育費に使用する。また分子メカニズム解明のため細胞生物学的、分子生物学的解析を実施するための細胞培養器具、培養液、試薬、プラスティック器具、ガラス器具の購入に使用する。加えて、現在までに得られた研究成果を学会で発表するための旅費を10万円、計上する。
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